小説

□第一章
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並木通りにある桜が満開となり、花弁が散らばる頃、物語がスタートする。

『これが4年間通う学校か。結構でかいな』
そう、ここは都内有数の大学、N大学である。そこで4年間通うのである。まぁこの男にとっては2回目なのだが。
どういう事かって?実は転生者なのである。俺が死んだのは18年くらい前だったかな。30歳くらいだった俺はトラックに轢かれ、死んだ。その時の経緯を説明しよう。

「お主よ、お前さんにチャンスを与えようぞ」

『は?どういう事ですか?』

意味が分からなかった。意識が目覚めたと思ったら、空は青の色でいっぱいで、床がない。厳密に言えば雲の上にすまっているのだが。目の前には髭の長い、だが威厳のある老爺が現れていた。

「まぁ落ち着け。お前さんが困惑するのも分かる、お前さんはトラックに轢かれ、死んだ。しかし、お主は生前、ボランティアや奉仕活動をしていた。その事からわしの温情で転生させてやる事にした。」

だいたい事情は把握した。だが、奉仕活動やボランティアで救ってもらえるなんて運がいいのかな。

「では、どうする?転生特典とやらと転生する世界を決めてもらおうと思ったのだが」

そこで俺は考える。前世の世界で転生特典(チート)を使えば最強なんじゃねと。

『では、1つ目は完全記憶能力を下さい。そして2つ目は強靭的な身体能力を下さい。
最後は、演算能力を極限まで高くしてください。』

俺の頭の中をフル稼働して選択した答えである。

「ほっほほほ、またまたよい特典になったな。では、世界はどうする?」

『前世の世界でお願いします』

老爺は眉間に皺を寄せた。これは失敗だったか、俺の額に一滴の汗が垂れる。

「お前さんは変わったやつだな。普通、転生する人はアニメや小説の世界へ征くのにお主はその世界へ征くのだな。良かろう。行ってくるがよい。
だが、一つ注意してほしいのはその世界がパラレルだという事だ。前世の世界では起こり得ないことも起きるし、その逆も然りだ。それも加味して考えたほうが良いぞ。」

老爺になんと言われようが俺の答えは一択だった。

『俺にはその世界でやり残したことがあるんです。たとえ、その世界がパラレルだとしても、やり遂げてみせます。』 

老爺はフッと少し笑い、俺にこう告げた。

「その心意気、感動した。頑張ってこい、またここに戻ってくることを願っているよ。」

嫌味たっぷりなその言葉は何故か俺の心に刺さった。

そして、その言葉を行った直後、床が(正確には床ではなく雲なのだが)無くなり、俺は落ちていった。

『やっぱりそのパターンかー!』





この特典のおかげで小中高は全部主席で行けたので、良かった。さらには自分は音楽の才能もあるみたいで、高校時代、ネットに自分が作った曲をアップロードした事がある。そのせいかネットでは結構有名な存在になってしまった。これは黒歴史なので他の人には話していない。
因みにテレビ出演はしていないので雑誌とかでは、【正体不明の天才音楽家松浦遼とは】とか、【千年に一人の大天才松浦遼】そのせいでテレビに出演する気がなくなった。

『よーし、友達たくさん作ろう!』

その言葉は明日で言えなくなることを知らずに、、、
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