長編(三井)
□#4 練習試合
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5月初め、世間ではゴールデンウィーク真っ盛り。 しかし、湘北ではそんなことは関係なく練習が行われている。
キュ!
ダム!
「オラ! 足止めんな!!」
「ハンズアップ!!」
体育館に三井の激がとぶ。
ピー!
「終了です。」
マネージャーの綾子の笛で、20分の4対4が終わりを告げる。
1カ月近くが経ち、小松もだいぶ練習についていけるようになった。
「よし! 午前練は終わり! 1時間したら午後練するからな!」
「「はい!」」
部員たちが解散した後、一つの人影が三井に近づく。
「動きが良くなってきましたね。」
「お前、来すぎじゃね?」
当たり前のように湘北の体育館にいる宮城、三井の指摘にも全く動じない。
「大丈夫っすよ。ちゃんと仕事はしてますから。それより、飯行きましょ!」
二人で学食に向かう。
ちょうど正午を過ぎた頃で、学食は様々な部のジャージ姿の生徒たちで大盛況だ。
「ゴールデンウィークなのに、何で開いてんだ?」
不思議がる三井。
「だって、運動部はほとんど練習してるでしょ。 オレ、高校のとき、学校が休みの日の部活で弁当忘れて昼抜きになったとき、学食が開いてないのをチョー恨みましたもん。だから、休日用営業で開けてんすよ。」
「なるほど、理事長さまのご厚意ってわけか。」
「そういうこと! って、三井サン、食券買わないんすか?」
「ああ、オレは弁当あるからな。」
三井の手には、水玉模様の風呂敷に包まれた弁当がある。
宮城はニヤリと笑う。
「ママ? それとも、彼女?」
「・・・ッチ! 母親のだよ!」
悔しそうに三井が吐き捨てた。