パパは◯◯です!
□パパは呪氷使いの凍矢です。
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パパは元魔界の忍です。
父さまは昔、修羅の怪とよばれる忍として日夜かつどうしていましたが、今は統一された魔界の政治に関わるお勤めや、次のトーナメントに向けて日々修練をつんでいます。
わたしもいつか父さまの跡を継いで、呪氷使いとして一人前に活躍できるといいのですが。
「いけっ、魔笛霰弾射っ」
てのひらに集めた妖気の粒を氷でくるみ、それを吹く術です。うまくいけば
十メートルくらい離れた場所にも勢いよく飛ばすことができます。
うまくいけば、ですが。
「あらら…」
でもわたしがいくらやっても、やっても、やっても、そんなに飛びやしないし、なんならコロコロっと手から落ちて、土を静かに冷やすだけ。
父さまのようになるには、まだまだ先は長そうです。
「…あれ?」
ひとり地道に自主練していたわたしは、向こうの方に見知った妖気が何人か集まっているのに気が付きました。
その中にはどうやら父さまもいるようだったので、いつもの調子でほいほいと近寄って行きました。
今思うと、この時そちらに行かなければ良かったのかな、と思うわけですが。
だれもわたしを止めるひとはいないので、気配をスッと消して、足早にそこに向かっていきました。