イシスの姫

□イシスの姫U
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「すぐ、救急車を!いやわが社のヘリコプターをよべーーーっ」

『あ…… わ、私いったい……
どうして こんな怪我をしたの
私… ジミーたちと学園から……
アブ・シンベル神殿へ見学に行って…………それから……それから アスワンの湖……の……………
う……い、いたい………』

「喋らなくていい、アセトれ出血が酷くなるっ」
「ヘリコプターはまだかーっ!」
『…湖…の…………それから………………』

「なにをしている、ヘリコプターはまだ来ないのかっ
ああ、肩の肉がズタズタに裂けている…なんと酷い………
どうしてこんな怪我をっ」

『湖から………先が………わからない……』
「しっかりしろ、アセト!」
『兄……』
「兄様が助けてやるぞ、しっかりしろ!」
「社長!」

誰かが…… 呼んでいるの……
兄様……

「ひどい怪我だぜなあ、ありゃあ シェーンハイト家の娘だよ」
「ほら、行方不明だった」
「すげえなあ、自家用のヘリコプターだ」
「へーっ、イギリス人の大富豪の娘かい」



「緊急患者だ 大出血しているぞ!」
「すぐ、手術の用意を!」
「先生まず止血をっ」
「輸血の用意、血液型は?」

「イギリスから専門医を、呼び寄せろ大至急手配を!」
「ニューヨークのメディカルセンターの、マーシャル博士が医学会でこのカイロにきています 連絡がとれました!」

「マンチェスターのゴーブ博士は」
「はい、すぐ出発できるそうです!」
「イギリスに帰っている母とネフィに知らせなければ」



「先生、アセトの様子は」
「輸血を続けていますが手術に耐えられるかどうか……
あの傷は普通のものではありません
けものに襲われたおそらくは………
ライオンか豹のような、獣にやられた傷です」
「ライオン?獣にやられた傷!」

「シェーンハイトさん、困難な手術になりそうですよ」
「先生お願いします、どんなことをしても、弟を助けてやってください!」
「われわれスタッフ全力をあげます」

アセト… お前はどんな恐ろしい目にあったのだ いったいどこで……

「アサル、アセトが見つかったって……怪我は大丈夫なのか?!」
「アサルさん、アセトはどこにいたんです」
「ライアン、ジミー……
いま、手術が始まった獣にやられたそうだ」
「「え、けもの…だって!」」

可愛い弟をこんな目にあわせた奴が、どこかにいるなら僕は許さない
必ず報復さてやる……
助かってくれ…… アセト!


「患者は獣の歯にやられている、器官がズタズタになっているから注意するように」
「執刀!」


いたい… いたいよ肩がうずく
兄様助けて
「アセト」

助けて、助けて アサル兄様
肩がいたい いたいの……
「アセト アセト……」

あ……… だれかが呼んでいるの
どこにいるの どこ……
わからない わからないよ…………
「アセト………」



……はるかな……古代……
テーベの都では 大混乱がおこっていた……


「イシスの姫は?」
「イシスの姫はいずこに…」
「イシスの姫は!」
「あの傷だ早く助けあげないと…」
「われわれのイシスの姫は、ナイル河へおちたまま行方不明だ」

「ナイルの娘も、イシスの姫が消えた後すぐに気を失われた」
「今もまだ目を覚まさぬ…」
「われわれの二人の守り神が……」


「アセトはまだ見つからぬか、ミヌーエ!」
「ナイル河一帯をくまなく捜すよう、指令してあります…
いましばらく、しばらくメンフィスさま」
「これほど捜しているのに、アセトはどこへ流されたのか!
水の中で急にかき消すように姿が見えなくなってしまった!
もう一度、この一帯の水底を捜せーーーっ!」
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