愛しい吸血鬼

□中篇
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『英〜 心配しなくても、枢は今年は英の所のお屋敷に滞在するよ?ついでに、私とその他数名も』
「いや、僕は別にっ」
『英はいい暇つぶしの材料になるから、楽しみね〜』
「聞き捨てならないぞ、麻織……って こら、きけー!!」

『千里は来ないの?』
「うん…行ってもどうせ途中に、仕事で抜けなきゃいけないし、藍堂さんで遊ぶのは楽しいけど……
親がたまには顔を出せって、うるさいから今年は帰る……ちょぴっと」
『ふ〜ん…… あっ、おつかれさま〜!優騎くん、零くんーっ
いつも大変ね〜 わたし達の留守中、ゆっくりできればいいんだけど』

「おきをつけて!」

『あ、枢、枢!戸締まりしてきた?』
「麻織… 僕もそれくらいできるから
はい、守護係さん…月の寮の鍵_____」
『枢 はやく行かなきゃ電車に乗り遅れるよ?』
「麻織 皆と先に乗ってて、優騎も…先に戻ってくれる?
大丈夫、意地悪しないから」

「じゃあ あの… お気をつけて麻織センパイ、枢センパイ……」
『ありがとう 優騎』
「!いま、優騎って……」
『あ、嫌だった?それなら
「嫌じゃないです!全然、凄く嬉しいですっ」
ほんと?なら、よかった〜』

「ありがとう …さて…… 錐生くん…
僕から言いたいことは一つ_____
優騎の手綱をちゃんと握っていてくれないと困るよ…
特に僕と麻織の留守中はね……
それだけだよ、しばらく顔を見ないで済むと思うと、うれしいだろ?
ああ……そうだ、教会から子供の_____……いや、なんでもない
じゃあ……」



ざわ ざわ

「枢様、時間がかかっても鉄道ではなくて車で来るべきでした…」
「見られてるだけだよ 藍堂
この人たちが、突進してくることはないだろうから」
「普通科の方たちも、最初はこんなふうに眺めてるだけだったのに…」
『…そういえばさ…枢だけは今も学園で、遠巻きに見られているのね…
キレイな人間の皮をかぶった凶悪生物だと、本能で悟られてる…?』

「麻織様…」
「キョーアクセーブツ…」
「枢様… 麻織があんな事言ってますが」
「ああ… 的をいてると思うよ
それより、せっかくの休みなんだから堅苦しいのはやめよう …藍堂」
「……はい」

枢様が、そうおっしゃるなら僕はもちろんそうする努力をするつもりだ
僕たちは、長期休暇を過ごすために地下高速鉄道で うちの別荘にやってきた
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