海賊世界を馬鹿が駆ける
□十七話 友情
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つっきーのぼやき
作「散歩して見つけた看板に『スーーパスタ缶新発売』書いてあった」
春「スープパスタのプまで伸ばして何がしたいんだその店?」
海賊世界を馬鹿が駆ける
十七話 友情
「聞きたい事があるんだろ春一?」
暗闇が晴れ現れるのは和風な作りの店と着物を着た青年
「聞きたい事が無きゃ態々来ねーよ、こんな胡散臭い店主が居る店」
「胡散臭いとは失敬な」
この男、椿は謎が多すぎるし何故俺の夢に現れるのかも分からないが、不思議と椿に質問をすれば知りたい事が分かる気がした
「俺の婆ちゃん……『日暮アヤメ』の薬について聞きたい……」
「やはりな……」
「ドクトリーヌがあの薬を製法が失われた『魔女の秘薬』だと言ったんだ……」
春一はこの質問に僅かな期待を寄せていた
これがもし事実なら……
「婆ちゃんは……『こっちの世界』の出身なのか……!?」
婆ちゃんがこの世界の出身ならば、婆ちゃんが元の世界に渡った方法がある筈
つまり俺が元の世界に帰る方法があるって事だ……
椿はたっぷり煙管の煙を吸いゆっくりと吐き出し……
「そんな訳無い」
「違うのっ!?」
希望はあっさり砕かれた
そりゃもう粉々に
「日暮アヤメは天才……いや、そんな陳腐な言葉では現せない程の才の持ち主だ」
「天才……?」
「才もそうだが探求心も人並み外れていた……彼女は薬草やキノコ、虫等について独自の研究を何十年も続けて薬を作り続けていたんだ。その中の一つが偶々『魔女の秘薬』と一致したんだ」
そう言えば婆ちゃんは良く薬を作るたびにノートに書いていた記憶がある
「何故お前の薬でナミの症状が完治しなかったか分かるか?」
「えっ……毒が強すぎたからじゃ……」
「違う。それはお前が船の上で薬を作ったからだ」
「へっ?何で?」
「日暮アヤメはただ薬を調合するだけで無く、その薬を作った場所の環境が与える影響まで調べてたんだよ」
?……何が何だか分からなくなって来た
「……同じ調合でも効力が全く違う薬は無かったか?」
「……あー、あったあった!粉末にするかお茶みたいに飲むかで効力が違くなるやつ!!」
「日暮アヤメがお前に教えた薬は平地で作れば完璧な効力を発揮したんだが……船の上で作れば波による揺れが加わり薬が僅かながら変化したんだ」
「そんな些細な事でか?」
「そんな些細事でだ。良かったな、毒とかに変化しなくて」
「うげっ……」
下手したら俺ナミに止めさしたのか……
「それともう一つ。お前怪我が治るのが早くなっただろ?」
「あぁ、確かに異常な程早くなったな……」
「それは俺からのプレゼントだと思え。只でさえ弱いお前が怪我しっぱなしだと皆に迷惑がかかるだろ?」
「ちょっとムカッと来たがサンキュー」
「ただし、肝に銘じとけ。それは大怪我を負えば動けるまで回復するが損傷した肉体は戻らないし致命傷を負えば死ぬからな」
様は不死身になった訳では無い
手足が吹き飛べば、生えて来るなんて事は無いし致命傷を受ければ死ぬ
だが、怪我が早く治るのは有難い
「さぁ、質問が終わったら帰りな。何やらルフィ達がやっちまったみたいだぜ?」
「なにっ!?さては食料に手ぇ出したな!!」
怒り顔で消えて行く春一
夢から覚めて、現実世界のルフィ達を殴りに行ったのだろう
「さて……これから先の旅でアイツがどうなるのか……中々興味深いな」
紫煙を燻らせた椿は妖艶な笑みを浮かべ空を見上げた
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