海賊世界を馬鹿が駆ける

□三話 蜜柑と風
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前回の粗筋

春一は死にました

海賊世界を馬鹿が駆ける 完

春「終わった!?」

作「嘘だ!!」

春「……」




海賊世界を馬鹿が駆ける

第三話 蜜柑と風














ゆっくりと意識が浮上する


重い瞼を開けると霞んだ景色が映った


背中の感触と体にかかる布団からどうやらベットに寝かされているらしい


「知らない天井だ……我ながら古いネタだな……っ!」


体を起こすと途端に激痛が走った

腹に手を当てた時、巻かれている包帯に気が付いた

どうやら誰かが手当てをしてくれたお陰で助かったらしい


「目が覚めたみたいだね」


「んあ…?」


まだ少し霞む目を声がした方へ向けると女性が立っているのが分かった

傍らに置いてある籠の中には蜜柑かオレンジが沢山詰まっていた


「……あんたが助けてくれたのか……?」


「そう、あんた三日前に流れ着いんだよ」


「……俺三日も寝てたの……って!アダッ!!」


慌てて起き上がろうとするとまた激痛が走りベットから落ちてしまった


「ぉぉぉぉぉぉぉぉぉ…!?」


「無理すんじゃないよ!」


女性がベットに戻してくれた

その時漸く顔が分かった

中々の美人で胸元のタトゥーがお洒落だ


「……質問、あんた誰?そしてここは何処?」


「あたしはノジコ。ここはココヤシ村にある、あたしの家。」


「……ココヤシ村ねぇ……聞いた事無いな……」


「それで?あの傷で海に入って生きてたあんたは何者だい?」


「日暮春一。海には落ちたんだ…ってティーチ!!あだぁっ!?」


また痛みに耐え切れずベットから落ちてしまいそうになった

ノジコさんが支えてくれて助かった


「……痛い……」


「当たり前だよ、普通ならとっくに死んでる傷なんだから」


「うわー、腹がパックリ割れてら……傷痕残るなこりゃ……」


「怪我が癒えるまでゆっくりしてきなと言いたい所だけど……歩けるなら直ぐに隠れな……」


「……何か訳ありか?」


普通こんな重傷人を放り出すなんてしないからな


「……この島は今海賊に支配されてんだ……」


ノジコさんはぽつりぽつりと語り出してくれた

この島に起きた悲劇を





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