抹茶

□星空ノ下デ歌ウ
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その音にびっくりした彼は素早くこちらに振り向いた


「ロ、ロビン?何時からそこに?」


「本の数分前よ。…目を覚ましたらこの音楽が聞こえたの」


彼はポリポリと頬を恥ずかしそうに掻いた


「むぅ…練習中を見られるのはこっぱずかしい…」


「フフッ…」


普段はふざけてるけど、こういう仕草は子供っぽいわね


「何時もこの時間に練習を?」


「二週間位前からだな。皆が寝静まってから抜け出してんだ」


道理でこの所、居眠りが多かったのね…


「ねぇ…その歌聞かせてくれる?」


「…まだ下手くそだから嫌なんだけどな…」


「そんな事無いわよ?」


さっきの歌は素晴らしい物だった

それは間違いないと思う


「…じゃあ…ちょっとだけな…?」


ギターを構え直し始める


その顔は真剣そのもの


元々、彼の顔の造りは悪く無い


これで真面目なら相当モテるであろう顔立ちだ


…正直…今の彼の表情に少し頬が染まったのも事実だ






どうせならもう

ヘタクソな夢を描いていこうよ

どうせならもう

ヘタクソで明るく愉快な愛のある夢を


『気取んなくていい かっこつけない方がおまえらしいよ』



一生懸命になればなる程 空回りしてしまう僕らの旅路は

小学生の、手と足が一緒に出ちゃう行進みたい

それもまたいいんじゃない?生きてゆくことなんてさ

きっと 人に笑われるくらいがちょうどいいんだよ



心の奥の奥 閉じ込めてた本当の僕

生身の36度5分 飾らずにいざ
we don't stop


けどまだ強がってるんだよ

まだバリアを張ってるんだよ

痛みと戦ってるんだよ



辛い時 辛いと言えたらいいのになぁ

僕たちは強がって笑う弱虫だ


淋しいのに平気な振りをしているのは

崩れ落ちてしまいそうな自分を守るためなのさ


僕だけじゃないはずさ

行き場のないこの気持ちを

居場所のないこの孤独を

抱えているのは…


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