どりーむ

□LIPS♪
1ページ/2ページ


大好きな孝介と付き合って何週間か経った、ある日のこと___



あたしは、吹奏楽部なので、放課後、普通に部活していた。

その日は雨で、朝からジトジトしていて気分も音も調子が悪かった。

「ああー、音悪いなあ...」

と、ひとりごとを呟きながら、誰もいない教室で1人で居残り練習をして、愛用のトランペットを吹いていたら、

「なーにしてんの?」

突然後ろから声がした。

「ひゃっ!?」

孝介だった。

「何?」
「突然出てこないでよ。びっくりするじゃん!!」
「だって、1人でいるし、俺からみたら意味不明だっつーの」
「てか、孝介部活は?」
「雨で早く終わった」
「あ、そっか」

一通り、説明も終わり、納得していたあたしに、孝介が問いかける。

「何してたんだよ?部活、もう終わっちゃったんじゃねーの?」
「あー、あたし今日音の調子悪いからさ、居残りで練習中」
「ふーん...雨の日だと、音変わんの?」
「うーん...まあ、今日はあたし、くちびるの調子も悪いから、そのせいかな?」
「くちびる?」
「うん。」

ふーん、と孝介が笑った。
それに、あたしは気付かなかった。

「じゃあ、俺がくちびるの調子、直してやるよ♪」

「えっ!?どーゆっん...」


言い終わる前に、口をふさがれた。

くちびるを舐めるようにキスをする孝介に、あたしは翻弄されていく。


さすがに息が持たないので、孝介に離してもらおうとすると、びくともしない。

「んーっ!!!」

やっとのことで離してもらえたあたしは、大きく呼吸をする。

「はあ、はあ、もっ、もう・・・」
「吹奏楽部のくせに息もたねーの」
「う、うるさい!!」

すると、孝介が勝ち誇ったような顔で、

「で、くちびるの調子はどうですか?」

と、言うので、あたしは満面の笑みで


「最高っ!!」


と、答えた。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ