F4

YOURS
1ページ/2ページ





好きな人と、一緒になれへんなんて。

俺は、なんて不便な仕事についてしまったんやろ。















「もー…なんでや…」

「ヘコんどるねー。」






パスタをくるくると巻き付けながら、人事のように言う内。





まあ、人事やけど。














「しゃーないやん、許可下りひんかったんやろ?」

「おん…」

「普通に考えても、下りひん可能性のが高いやん。」

「そらそーやけど…」








テーブルに突っ伏している俺を邪魔そーに見ながら、デザートを頼む内。









「…べつに、せんくてもよくない?」

「したいねん。」

「えぇやんもう。してるよーなもんやろ?」








ふうっ、て小さく息をついて、俺を見る。















「いまの時期にできるわけないやん。










…結婚なんか。」













きっ、と内を睨むと、はぁってため息を付いた。










「なんでそんなに結婚したいん?」





内の問い掛けに、言葉がつまって、俯いた。








「べつに…言いたくないんならえぇけど。」

「…俺は、」









テーブルの上のコーヒーを一気に飲み干す。











「俺は、あいつに…さとみに、堂々と…
俺の彼女やって、言わせてやりたいねん。」









空になった、コーヒーカップを見つめながら、続ける。










「結婚して、世間に発表すれば…そんなこそこそすることもないやん。

もーずっと、結婚の話しはしてたし。

事務所に掛け合ったりもしたけど…
何回言っても駄目で…

でも…はやく、安心させてやりたいねん。
さとみを。」

「……なるほどなぁ…」









内は、パフェの器についたクリームをすくいながら、呟いた。










.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ