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□MAGIC
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焦げたソースのにおい。
少し汗ばむ肌。
耳に響く下駄の音。
夏祭り。
「おそいなー…」
人の並から外れて、少し離れたところで、
タコ焼きやら焼きそばやらを買いに行った、きみくんを待つ。
もーけっこうたったよな…
やっぱり、りさも行けばよかった…
『お前、ちっこくてどこおるかわからんから、待ってろや』
笑いながら言った、きみくんの言葉を思い出す。
…ちっこいちっこいって、ばかにしやがってー
でも、ほんとは、
心配してるからだってわかるから、ちょっと嬉しかったりもする。
そんなこと考えて、にやけるのを堪えて、ひたってると、
足元に陰が入ってきたのがわかって、顔をあげる。
「きみく、」
「ねー彼女なにしてんのー?」
「俺らと遊ばなーい?」
げ。
見ると、いかにもチャラい男が2人。
「いや、人待ってるんで…」
「えーなになに?彼氏?」
「いーじゃん、そんなんほっとけってー♪」
そう言って、肩に手を置いてくる。
ちょ、やだっ…
いきなり、
ガッて、
鈍い音が聞こえて、見ると、地面に倒れてる男。
「…なにやっとんねん。」
そう言って、ものすごく不機嫌な顔で、たたずむ、
「きみくん…」
「お前ら、人の女に手ぇ出して、ただですむと思ってんのか?あ?」
そう言って、男の胸倉を掴む。
完璧キレてる…
いまにも、殴り倒してしまいそうな勢いで。
やば…
「ちょ、きみくん!
もう、いいよ…ね?」
「…お前ら、次こいつに指一本でも触れたら絶対許さへんから。
はよ消えろ。」
そう言って、乱暴に突き放すと、男達は足早に去っていった。
「きみくん…」
「…だい、じょーぶか?」
そう言って、心配そうにりさを見るきみくんの目は、
やさしくて。
「うー…きみくんー…」
なんか安心して、
きみくんの服にすがりついて、泣いた。
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