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HOPE
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きみの隣で、笑っていたいだけなのに。

こんなにも、きみのことを想っているのに。

伝えられない。














「たっちょんは、なんで彼女つくらないの?」










無邪気な顔して、なにも知らずに問い掛けるりさ。











「俺モテへんもーん。」








えーうそつきーって笑う。









お前のことが好きやからやで、って言えたら


どんなに楽なんやろ。













「…たっちょん?」

「え、うわっ」










気がつくと、りさのおっきな目が、俺の顔を覗き込んでいた。








び、びっくりした…











「どーしたの?ぼーっとして。あ、お腹すいた?」

「ちゃうよー。
考えごとー」











たっちょん考え事とかするんだーって、けらけら笑う。










りさのことばっか考えてる、って言ったら、
どんな顔すんねやろ。











あかん、頭おかしーわ。













「…俺、帰るわ。」

「え?もう?」

「おん、またくるなー」













玄関を閉めて、小さくため息をつく。


あかん、しんどい…













「はーいー?」

「もーあかん…」

「…顔見て第一声がそれってどーゆうことやねん。笑」









突然の訪問に驚くこともなく、ヤスは家にあげてくれた。


まー幼なじみやし、こんなんはしょっちゅう。



むかしはよぉ、りさと3人でヤスんちで遊んでたなぁ。








ヤスのベットに、勝手に転がる。


あ、またギター増えとる。












「ほんで、どないしたん?」

「へ?」









麦茶をテーブルに置いて、立てかけてあるギターをひょいって掴む。












「りさのこと?」

「……おん。」










ヤスは、説明しなくても、大体のことわかってくれてるから。



たまに、俺より、俺のことわかっとるんちゃうかな、って思う。












「告白すればええやん。」

「そんなんでけへん。」

「なんで?」

「やって…」












もう結果なんか、見えてるやんか。

りさは、横山くんが好きで。




俺は、ただの

幼なじみ。










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