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□ホグワーツ・日本分校の日常
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「はぁっ、はぁっ…まだ着かないの…?」

 思わず誰かがつぶやきました。それくらい長い坂です。

「三橋は…大丈夫…?」
 ちょっと疲れた声で栄口が尋ねます。
「大、丈夫、だよ!」
 どもっているようですが大丈夫なようです。顔は真っ赤っかですが。


「着いた!!」

 前の方から声がしました。坂道は終わりを告げたようです。

 最後の力を振り絞って坂を登り切ると、目の前にポニーテールの元気なおばさんが立っていました。

「入学おめでとう皆さん。私は竜崎という。よろしくな。
 これから新入生歓迎会が始まるが、その前に組みわけをしなきゃいけない。
 学校にいる間、寮生が家族。…といっても、みんな仲は良いから、学校全体が家族みたいなものなんじゃけどな。
 寮はグリフィンドール、ハッフルパフ、レイブンクロー、スリザリンがある。それぞれの歴史に恥じぬよう、よい行いをしなさい。学年末には、最高得点の寮に寮杯が与えられる。
 しかし、どの寮に入るとしても、皆さん全員が寮の誇りになるように。わかったかい?」
「これから、全校生徒の前で組み分けをするから、できるだけ身なりを整えておくんじゃぞ。」

 長々とした説明だったが二人は理解できたようです。これから組み分けをする。全校生徒の前に出るから身なりを整えておくように。

「俺、やっぱりわかってても緊張してきちゃった…。トイレに行きたいかも…。」
 栄口は緊張を抑えるために必死にしゃべっていたようです。

「神経症の下痢、また出たのかよ。なっさけねぇなぁ。」

 声の方を振り返ると、黒髪短髪のたれ目の少年がいました。

「え、と…君は…?」
「阿部隆也。よろしく。」
「よ、よろしく…。」

 阿部曰く、栄口とは中学が一緒だそうです。

「中学で変なことが起こるたびにこいつが出てきてなんとかしてくれたんだよな。
 でもこいつ、先生に弁解しようとすると緊張するらしくて下痢するみたいでさー」
「言いふらさなくてもいいだろー…。」


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