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□9組の日常
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「おい田島、三橋、起きろ。次化学室だぞ。」
昼ごはんを食い終わって、「15分前に起きるぞ!」って言った本人が寝てやがる。いい加減起きろよな。
「え・・・いずみ・・・今何ぷん・・・?」
「もう10分前だぞ。早くしねぇと次の化学の実験の始まるぞ。」
「うおぉっ」と言って田島が起きる。そして田島は三橋をたたき起した。
っていうかなんで三橋は田島ならすぐ起きるんだ。浜田も俺も同じように起こしたぞ?
「ま、いいか。」
思わず口に出てしまったけど誰も聞こえてなかったみたいだからいいか。
「何か言ったー?」
「いや、何も。」
訂正。田島は聞こえてたみたいだ。
だらだらと四人で歩いていると、階段のところで田島が声を上げた。
「おーい、しのーかー!」
前方には俺達野球部のマネージャーの姿が。
ちなみに、なんでマネージャーって説明したかというと、なんだかたった今グラウンドの草むしりから帰ってきましたって格好をしてたから(本当にしてたんだろうけど)。
「あ、田島君、みんな。」
「どうしたー?」
「実はそこにいる先生に声をかけたんだけど、なかなか気づいてもらえなくって・・・」
篠岡は困っているらしい。篠岡の言う通り、今の時間は大体みんな昼ごはんを食べ終わってうるさい時間帯だ。
声は聞こえにくいだろう。
「だったら俺が先生呼んでやるよ!」
「せんせぇぇ!!」
田島の声は、周りの生徒達を(もちろん俺達も含め)ビビらせるくらい大きかった。
「ああ、なんだ田島。」
「しのーかが呼んでます!」
「何だ篠岡?」
田島の一声で一件落着か。ま、あいつらしい。
「田島君、ありがとう。」
「いいっていいって!ってか、しのーか、さっきまで草刈りしてくれてたのか?」
「そうだよー。結構楽しいんだぁ。」
おいおい、移動教室だぞ。時間大丈夫か?
・・・って田島に聞こうとして聞きそびれた。
だってなんか・・・田島、すげぇ楽しそうだし・・・。
「泉・・・」
浜田が話しかけてきた。
「田島、すごいうれしそうじゃねぇ?」
「ああ、浜田もそう思うか。」
「こりゃぁ・・・」
「うん・・・」
俺たちは気づいてしまった。
田島が篠岡に恋してることに。
「水谷も大変だな・・・」
「何か言った?」
「いや、浜田には関係ねーよ。」「なんだよー。」
そういえば、前篠岡が浜田に用事があったらしく教室に来た時も、田島はほかの女子には目もくれずに篠岡にしか気づいてなかったし・・・。
篠岡ってすげぇな。