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□君とあなたの間
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唐突な質問に、動きが止まる。
こんなことを聞かれるとは思っていなかった。
「どうして?」
「だって、いつも君のとなりにいる子が片想いしてるの見て、恋愛したいと思わないの?」
私はひとつため息をつき、自分の席に座った。
彼は斜め前の席の椅子に横向きに座ってこちらを見ている。
「あの子が片想いしてるのを応援するので精一杯で、他の男子なんか見てられない。」
「にゃるほど」
ここでふざけられるのがムカつく。仕返ししてやろうか。
「そう言うあんたは?」
彼は黒板の方を首だけ向け、
「別に。」
それだけ言った。
「…」
「ちょっとー!そこは「エリカさまか!」ってツッこむところでしょうが!」
振り向いてそう言う彼に違和感を感じ、また言葉が出なくなる。
私が返事をしない一瞬が強く感じられた。
「…先生だったんじゃないの?」
「…え?」
彼の表情が固くなった。