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□図書館の憂鬱
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「何してんの、君たち。」
後ろから、大きくはないがよく通る声がした。
この声は聞き覚えがある。聞き覚えがないはずがない。学校でいちばんの有名人だ。
「雲雀恭弥・・・さん。」
「僕の名前を聞きたいんじゃない。何をしてるのか聞いてるんだよ。」
「こっ、この人が私たちばっかりうるさいって注意して・・・」
ヒュッ
彼の学ランがはためいた。
いつの間にか、彼の腕にはトンファーが装着されていた。
「どんな理由があろうと、僕の前で群れることは許さない。それに、君たちはうるさくて注意されたんだろう?そんなことにも気づくことが出来ないの?」
一気に彼女たちの顔が赤くなる。
「ね、もう帰ろ。」
リーダーらしき一人の言葉で、全員が出入り口のほうへ駆けていった。
「あ、ありがとうございました。雲雀恭弥さん。」
「別にいいよ。群れてるの見るのが嫌だっただけ。それから、フルネームで呼ぶのやめてくれる?」
「は、はい。雲雀・・・さん。」
「あ、雲雀さんはどうして図書室に?」
「資料探し。」
「手伝いましょうか?」
「いい。」
そういうと雲雀さんは本棚のほうへ消えてしまった。