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□三橋の非日常
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最初三橋に提案したときは、少し不安もあった。
カラーボールも、いつも使っているボールとは違う。形が似ていたって、毎日本物を触る自分たちには全く違うと感じられるだろう。
ましてや、あの投げるのが大好きな投手が持ったら、何が違うのかはっきりとわかるだろう。
そんな考えを巡らせていた自分に、心配そうな三橋の視線がぶつかる。
「お前が一生懸命やれば、あとは大丈夫だから」
そんな思いで三橋を見れば、気弱な三橋ではなく、マウンドに居る西浦の投手の表情が見え隠れして、どこからか自信がわいてくる。
いつものフォームで、キャッチャーに投げるみたいに、三橋は投げた。
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