夜・桜SS
□サイレンナイト
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Silent night
holy night
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雨宮と ケンカした。
きっかけは何だったか…
思い出せない。
そのくらい些細な事で口論が始まって
売り言葉に買い言葉で。
すこし
…イヤ、かなり傷つく事を言われ
俺も単純でカッとなりやすい性格だから
色々言ったよな。
…きっと 雨宮も傷ついたと思う。
あれから数日。
もうすぐ終業式で、学校では会えなくなるのに
俺たちは 目もあわせず
一言も話していない。
謝ろうとは思っている。
でも…
何をどう謝れば良いのかが解らない。
多分、あの時発した言葉は お互いに本物で
歯に衣着せぬ言葉は
見えないナイフになって
心にグサグサ刺さり
それでも
初めて知った気持ちや考え方に
驚愕したり 同情したり
反論したり 拒絶したり
…所詮は他人同士なのだ と
思い知らされたようで
でも
どこか、本気でぶつかり合えたのが
嬉しかったりで。
ぐるぐるぐるぐる
心で解っている事と
頭で判っている事が
いつまで経っても一緒にならない。
〔最小公倍数〕
数学の授業中。
そんな言葉が、ふっと耳に入る。
自分の中での〔最小公倍数〕も見つけられないのに
雨宮との〔最小公倍数〕なんて見つかるのだろうか
…それは どのくらい遠い所にあるんだろうか
ぐるぐるぐるぐる
回っても廻っても
行き着く場所も
答えも出口も
全く見えて来ないまま。
授業が終わり、チャイムが鳴る。
恐る恐る 雨宮の方を見ると
やっぱり もう
居なかった。
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