夜・桜SS
□夜桜SSS
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[幸福論@]
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「天気良いわね…。綺麗な青空!!」
気持ち良さそうに笑う雨宮。
土曜日の午後
雨宮と恒例になりつつある[デイツ]。
今日は 少し足をのばして大きな公園まで来た。
雨宮が、たまには緑に囲まれた所でゆっくり過ごしたい…なんて言ったからだ。
「今日はね、お弁当作って来たんだ♪サンドイッチ!」
「へぇ 美味そう。俺ツナと卵とハムが良いな。」
「ちゃんとあるよ。それに、苺と生クリームのサンドもあるの!」
「至れり尽くせり。ありがとうございます桜子さん♪」
「いえいえ。さて…どこで食べようね…」
周りを見回すと…
幾つか在るベンチは、カップルや家族連れで既にいっぱいだ。
「うーむ。…無いな、座る場所。雨宮さえ気にならなければ、あの辺りとかどうだ?」
緑が青々と茂る芝生。
「…良いわよ。私はハンカチひくから。夜科は…そのままゴロ寝しそうね」
「おう♪別に気にしないし。さ、座ろ…」
「?どうしたの…?」
***
「へへっ…良い物見ぃつけた!」
ホラ!と差し出されたのは
四つ葉のクローバー。
「やるよ。」
と、子供みたいな笑顔で手渡される。
「ありがとう。夜科って…やっぱりそうゆうタイプよね。」
丁寧に、持っていた文庫本に挟む。
「?そうゆう…って?」
夜科は既に芝生に寝転んでいる。
私は隣に座った。
サンドイッチのバスケットからお手拭きを出して、夜科に手渡す。
「外国ではね、四つ葉を見つけたら 幸せを独り占めする為に、すぐに自分の靴に隠したりする所もあるのよ。」
「ふぅーん…。」
夜科はお手拭きを返すと、バスケットから一つサンドをつまんで頬張り始める。
「…なんかさ、そうゆうのって俺は出来んなァ。別に、四つ葉の幸せくらい最大4人で割ったって良いもんだろ?」
「ふふふ…そうね。私、夜科のそうゆう考え方 キライじゃないわ。」
私も、レタスとチーズのサンドを口に運ぶ。
「…ま、ある意味 俺は一番の幸せを独り占めしてるケドな。」
ニヤリと、何だか物凄く嬉しそうに笑う夜科。
「…?何?ツナ2つ食べちゃった?」
「違う違う…!そうじゃなくて」
上体を起こして、私のピッタリ隣に座り直す。
「こうやってさ、二人きりで居られるって事! 雨宮を独り占め出来てる俺はスッゲェ幸せ者だよ。」
と、はや3つ目になるサンドをくわえながら、照れ笑いする夜科。
「…ま、今はね。そうゆう事にしといてアゲル。」
少し、自分の頬が火照るのが解って…私は景色を見るフリをして顔を背けた…。
幸せって、誰かと共有して はじめて価値を持つのかも知れない。
温かい日差しの中、互いにもたれ掛かり合いながら食べたサンドイッチは
全部美味しかった。
end
***
[幸せを、分かち合えるコト]