夜・桜SS

□過去拍手お礼SS
2ページ/26ページ

夜→雨SS

「なぁ 雨宮」
「…!!ちょっと、学校では話しかけないでって言っておいたわよね」
「いいじゃん。もう放課後だし 教室誰も居ないし。」

夕日が差す教室で
本を読んでいた雨宮

色素の薄い髪が日に透けて
とても綺麗だった。
話しかけたかった。

「なぞなぞ。当たったら何でも一つ言うこと聞くぜ」

***

面倒くさい。
雨宮は思ったが、さっさと正解して以後黙らせるのも悪くない。

「はいはい どうぞ。」
「よ〜し! あ、その代わり雨宮負けたら…」
「一つ言うこと聞くんでしょ。いいからさっさと始めて。」

本から目をそらさずに ぶっきらぼうに言い放った。

***

よーし!!
この時の為に必死で暗記してきたんだ
いくぜ…

〔それは、俺が雨宮から 一番欲しいモノ〕

夜科は続ける。

[元手が要らない。しかも、利益は莫大。
与えても減らず、与えられた者は豊かになる。
一瞬間見せれば、その記憶は永久に続く。

どんな金持ちもこれなしでは暮らせない。
どんな貧乏人もこれによって豊かになる。
家庭に幸福を、商売に善意をもたらす。
友情の合い言葉。]

「…??」

[疲れた者にとっては休養、失意の人にとっては光明、
悲しむ者にとっては太陽、
悩める者にとっては自然の解毒剤となる。

買うことも、強要することも、
借りることも、盗むこともできない。]

「ヒントはタダって事かな。な〜んだ!?」

***

しばらく考えていたが 思いつかない。
「…悔しいけど 降参。何それ 教えてよ。」

夜科はニカッと笑って言った。

「え が お」

笑顔。

「…なにそれ バッカみたい。」
本を鞄に押し込んで、席を立った。

「雨宮 約束」
「〜〜っ!!」
どうせろくでもないこと考えてる。
「何よう」

夜科が近付く
「俺だけに見せてよ。今じゃなくて良い。いつか 雨宮の本当の笑顔。」
俺も努力するからさ と手を握る。

「…じゃあ私のためにせいぜい頑張って。」
手を振り解いて 走って教室を出た。

「約束だぞォーーー!!!」
遠くから 夜科の声。

「ほんと バカなんだから…」

きっと 今の私は笑ってる。

「あんたは見逃してるだけなのよ…バカッ」





***
08.10.5撤去分

10.13修正

アゲハのなぞなぞは
カーネギーの[クリスマスの笑顔]より。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ