夜・桜SS
□過去拍手お礼SS
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夜→雨SS
「なぁ 雨宮」
「…!!ちょっと、学校では話しかけないでって言っておいたわよね」
「いいじゃん。もう放課後だし 教室誰も居ないし。」
夕日が差す教室で
本を読んでいた雨宮
色素の薄い髪が日に透けて
とても綺麗だった。
話しかけたかった。
「なぞなぞ。当たったら何でも一つ言うこと聞くぜ」
***
面倒くさい。
雨宮は思ったが、さっさと正解して以後黙らせるのも悪くない。
「はいはい どうぞ。」
「よ〜し! あ、その代わり雨宮負けたら…」
「一つ言うこと聞くんでしょ。いいからさっさと始めて。」
本から目をそらさずに ぶっきらぼうに言い放った。
***
よーし!!
この時の為に必死で暗記してきたんだ
いくぜ…
〔それは、俺が雨宮から 一番欲しいモノ〕
夜科は続ける。
[元手が要らない。しかも、利益は莫大。
与えても減らず、与えられた者は豊かになる。
一瞬間見せれば、その記憶は永久に続く。
どんな金持ちもこれなしでは暮らせない。
どんな貧乏人もこれによって豊かになる。
家庭に幸福を、商売に善意をもたらす。
友情の合い言葉。]
「…??」
[疲れた者にとっては休養、失意の人にとっては光明、
悲しむ者にとっては太陽、
悩める者にとっては自然の解毒剤となる。
買うことも、強要することも、
借りることも、盗むこともできない。]
「ヒントはタダって事かな。な〜んだ!?」
***
しばらく考えていたが 思いつかない。
「…悔しいけど 降参。何それ 教えてよ。」
夜科はニカッと笑って言った。
「え が お」
笑顔。
「…なにそれ バッカみたい。」
本を鞄に押し込んで、席を立った。
「雨宮 約束」
「〜〜っ!!」
どうせろくでもないこと考えてる。
「何よう」
夜科が近付く
「俺だけに見せてよ。今じゃなくて良い。いつか 雨宮の本当の笑顔。」
俺も努力するからさ と手を握る。
「…じゃあ私のためにせいぜい頑張って。」
手を振り解いて 走って教室を出た。
「約束だぞォーーー!!!」
遠くから 夜科の声。
「ほんと バカなんだから…」
きっと 今の私は笑ってる。
「あんたは見逃してるだけなのよ…バカッ」
終
***
08.10.5撤去分
10.13修正
アゲハのなぞなぞは
カーネギーの[クリスマスの笑顔]より。