(´ω`)φ【wammy's invention laboratory】


□「Deus ex machina - 機械仕掛けの神 -」(さる作)
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ギ・・・ギギ・・・・

何処から聞こえてくるのか、理解出来ない程軋んだ機械音・・・・。
耳を澄ませば澄ますほど、自分では否定したい気持ちが湧き上がる。

だってそれは俺の身体の中から聞こえて来ていたから―――。
自分の――身体の――中心――

その部分に手を当てる・・・・
生物ならば当り前に感じる鼓動は無く、その手に感じるのは耳に響いている音と同じ軋んだ振動

『・・・・やっぱり・・・・そうなんだ・・・・』

ポツリと零れる言葉に、その胸は再びギシリと鈍く軋む。
それが子供の頃の記憶
それは孤独だった時の記憶

それからどの位時間が経ったのか―――
すべての事がくだらないと思う様になった頃
他人の幸福がくだらないと思う様になって頃俺は全く正反対の奴に出会った。

そいつは呆れるほど真っ直ぐで、馬鹿馬鹿しい位熱くて
他人の事が放っておけなくて、おせっかいででも何処か危なっかしくて・・・・

気付いたら惹かれてた
気付いたら傍にいた
その手の温かさに安らいでいた

真夏の海が似合いそうな明るい笑顔
真冬の暖炉の様な体温
緑萌える季節の様な香り

生きている―――実感―――

からかったり笑いあったり喧嘩をしたり
自分でも気が狂ったのかと思う位の感情の波
それは昔から存在していたかのような気がして

見回せば何時の間にか仲間が居て
そこに存在している自分が当り前で
昔感じていた物は消え去っていた。

《 Deus ex machina 》

機械仕掛けの神は俺を繋いでいた糸を切り離し、その身を輝ける世界へと解き放った。
その思惑は何なのか、俺には理解出来ない
俺と言う玩具に飽きたからなのか、新たなる人形を手に入れたからなのか―――

何れにしろ俺はもう戻る事は出来ない
切れた糸は何処かへ消えた
いま在るのは痛みを感じる身体

胸に手を当てる・・・
軋んだ音はもう聞こえない
軋んだ鼓動ももう感じない

いま感じるのは確かな鼓動
貴方を見て高鳴る鼓動
温かな血の流れ―――

例え再び機械仕掛けの神が俺を捕らえようとしても、俺はいま感じている事を忘れない
意識を取られても、貴方の声で・・・仲間の声できっと戻る

《 Deus ex machina 》

幻想と現実の狭間に存在する神は
貴方の笑顔で闇に堕ちるだろう
そして俺は貴方に帰る―――       《完》

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