(´ω`)φ【wammy's invention laboratory】


□「C-love FRAGRANCE Eternal Glitter」(さる作)
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謹賀新年・・・・ここ日向家でも新しい年を迎え、気分一新色々と新しい事を始めたようです。

『ふぅ・・・これでよしっと!・・・うん、いい感じじゃない?』

この寒さもなんのその、夏美は額にうっすらとかいた汗を拭い満足そうにそう呟いた。

『大掃除もかねてやってた模様替え・・・カーテンも新しくしたし、何か良い事ありそう♪』

どうやら自室の模様替えをやっていた様子・・・その仕上がり具合にかなりご満悦な感じです。するとそこに上機嫌の夏美とは対照的な表情で冬樹がドアをノックします。

『・・・・姉ちゃん・・・終わった?』

『あら冬樹、ねね・・・どう?可愛くなったでしょう〜〜?』

『え?・・・・あぁ・・・良いんじゃない・・・?』

いまいち上の空と言うか、気の無い返事の冬樹に夏美は少しばかりムッとした。

『・・・・何?その気の無い返事はぁ!?何か文句でもあんの!?』

両手を腰にあて訝しげにそう言う夏美に、冬樹は慌てて訂正するも元気は無い。

『え・・?違うよ・・。』

『じゃあ何なのよ、いったい!?』

唇を尖らせながらそう詰め寄る夏美に、冬樹は溜息交じりでこう答えた。

『ね〜〜姉ちゃん・・・この香り・・・何とかならないの〜〜?』

『へ?香り?』

冬樹の言葉に、夏美は鼻をヒクヒクと動かし不思議そうな表情を浮かべる。

『・・・・・?・・・何か臭う?』

その夏美の反応に、冬樹はがっくりと肩を落としもう一度・・今度は説明交じりに答え始める。

『・・・・・はぁ・・・・・年末に姉ちゃんが買ってきた洗剤・・・覚えてる?』

冬樹のその質問に一瞬戸惑った夏美だったが、直ぐに思い出したようで満面の笑みでこう返してきた。

『?・・・・あ!・・あれ!?・・・良い匂いでしょう〜〜!? 年末の623さんのラジオでもお勧めしてたし、先輩にも褒めて貰えたんだから〜〜〜。』

後半は顔を赤らめながらそう説明する夏美に、冬樹は少々うんざりした表情で仕方なさそうに微笑んだ。そして少し間を置いて、言い難そうに言葉を続けた。

『あははは・・・・そう・・・・あのさぁ姉ちゃん・・・これ・・・止めて貰えないかなぁ・・・・?』

いい気分に浸っていた夏美は、思いがけない冬樹の言葉に一気に顔を曇らせた。

『え・・・・えぇ〜〜〜!? 何でよ!!』

夏美の勢いに一瞬怯んだ冬樹だったが、自分的に受け付けないこの臭いを排除する為に滅多に見せない根性を見せた。

『・・・姉ちゃんは良いかもしれないけど、僕にはこの臭いきついよぉ・・・駄目?』

『駄目駄目駄目駄目・・・・・駄目に決まってるでしょぉ!? 買ったばっかりだし・・・《先輩に褒めて貰ったし・・・←心の声》・・・その内慣れるわよぉ、我慢しなさい。』

『えぇ〜〜〜・・・そんなぁ・・・軍曹だって帰って来たらきっと嫌がるよ〜〜?』

『ん?ボケガエル居ないの?』

その夏美の返答に、冬樹は再びがっくりと肩を落とした。そして半ば呆れ顔で反論する。

『今年は帰省するって言ってたじゃないか、姉ちゃんそれなら年末の家事全部済ませていけって軍曹に言ったじゃない・・・・覚えてないの??』

その言葉に夏美の脳内は回想モードに突入する・・・・。

《・・・・・あぁ・・・・そう言えばそんな事聞いた様な・・・あたしも623さんのラジオを聴く為にこき使って・・・疲れ果ててソファに倒れ込んでから見てないから、てっきり寝正月してるのかと思ってた・・・。》

『・・・あ・・・・あ――――っ!? 思い出した、思い出した!? 何?まだ帰って来てないの??』

気まずい話題を逸らす為に夏美はそう切り返すと、冬樹はあっさりとその話題に乗り素直に答え始めた。そんな素直な弟を持って良かったと、夏美は改めて実感する。

『え? あ、ううん。今日帰るって言ってたから、もう直ぐ帰って来るんじゃないかな?・・・・じゃあさ軍曹にも聞いて決めようよ・・・・良いでしょ?』

『えぇ〜〜〜・・・・良いけど・・・。』

口でそう言いながらも、本当はかなり不満な夏美だった。しかし余り我を通すのもと考え、此処は引く事にした。それにどうせ駄目と言う事になっても、あの勿体無がり屋のボケガエルの事・・・・無くなるまで使い続けるのは確実。そうすれば冬樹の鼻も慣れて、文句も出なくなるだろうと考えたのだ。

『じゃ、決まりだね。』

夏美とはまたまた対照的に嬉しそうにそう言う冬樹は、遠くから聞こえて来るエンジン音に気が付き窓の外へ意識を向けた。

『ん?』

『あ、噂をすれば・・・軍曹帰ってきたみたいだよ。』

その言葉と共にベランダへと2人が出ると、目の前に愛車に乗ったケロロが片手を振りながら降り立った。
何も知らないケロロは、2人の思惑など考えもせずに嬉しそうに庭に着地した。
夏美と冬樹も階下へと急ぎ、ケロロのいる庭へと向かう・・・理由は歓迎の為ではなく結論を出す為であるのは知れた所である。

『軍曹!』

『ボケガエル!』

2人の呼び掛けに満面の笑みを浮かべながらゴーグルを外すケロロは、両手に荷物と冬樹達のお土産をぶら下げながらその声に応えた。

『いんゃあ〜〜熱烈歓迎でありますなぁ〜〜。そんなに我輩がいなくて寂しかったで・・・!?』

2人が駆け寄る直前、上機嫌のケロロの鼻孔にあの香りが飛び込んできた。すると様子が一変し、ケロロの表情から笑顔が消えた。

『お帰り軍曹!あのさ突然なんだけど、この臭いどう思う!?』

『別にどうって事無いわよね! って言うか、良い匂いでしょう!?』

『ね、軍曹ってば!・・・・?・・・軍曹・・・??』

2人の勢いに驚いてか、はたまた別な何かがあるのか・・・・ケロロは手に持っていた荷物を全て地面に落としてしまった。
恐らくは冬樹へのお土産だろう・・・ケロン星のクリスタル・スカルが2人の足元に転がった。

『ちょっと?ボケガエル??』

夏美の訝しげな声に、ケロロの肩がピクリと動き同時に一筋の汗が流れ落ちた。

『こ・・・こりは・・・・』

ケロロのただならぬ様子に、冬樹が心配そうに声をかける。

『軍曹・・?大丈夫・・?』

その冬樹の問い掛けにケロロは、焦点の定まらない目をしながら慌てた様子で口を塞いだ。

『!?・・・・んぐ・・・軍曹・・・何・・・・!?』

いきなりのその行為に驚いた冬樹は、目を丸くしながら質問をしようとする。しかしケロロはそれさえも遮り、更に夏美にも静かにするように目で合図した。

『し――――っ!? 静かにするであります!!』

少しばかり恐怖を感じてしまうくらい、目の焦点が怪しいケロロは戸惑う2人を尻目に声を小さくもおどろおどろしい感じで言葉を続けた。

『何で奴がココに・・・? ましゃか我輩達が出入りを繰り返すうちに・・・!? だとしたら・・・・冬樹殿・・・夏美殿も基地内に、いや! むしろ自室の方が安全・・・!?』

何やらブツブツと呟きながらも、視線だけは忙しなく周囲を見回し警戒している。
それは夏美や冬樹にとっては、かなり困惑する物だった。

『ちよっ・・・・さっきから何なのよ? いったい何がどうした訳!?』

『そうだよ軍曹・・ちゃんと説明してくれたら避難でも何でもするからさ。・・少し落ち着きなよ。』

『こりが落ち着いていられる事だとお思いか―――――っ!?』

宥めようとする2人の言葉に、ますますケロロの行動は怪しさと混乱を増す。
まさか反論されるとは思ってもみなかった2人は、ケロロの声の大きさに驚き言葉を詰まらせた。
そんな2人の様子を尻目に、ケロロはブツブツと呟くように話を続けた。

『こんなに《香り》が漂っていると言う事は、きっと近くに潜んでいるに違いないであります・・・・。 どうする・・・・どう殲滅する・・・・??』

『《香り》?』

『もしかして・・・軍曹、この《香り》に怯えてるの?』

そう言う冬樹の言葉に、ケロロは慌てて2人をソファの影に押し込んだ。

『このバカチンが――――!? ・・・奴が何処に潜んでいるが分からないのに、そげな大声で言う居場所を教えるなんて死にたいんでありますか――――っ!!』

『だから何なのよ――――っ!?』

頭をグイグイと押さえ付けられながら声を荒げる夏美に、ケロロはハッとした表情をし力を緩めた。
その隙にケロロを押し退け、訝しげな表情をする2人にケロロはゆっくりと言葉を続けた。

『そうか・・・そうでありますな・・・ここは地球・・・《奴》は知られてない存在でありましたな・・・。《奴》は宇宙最悪の植物・・・《香り》で生き物を魅了し引き寄せると、一気にパクっ!・・・といく恐ろしい植物なんであります!?』

ケロロの言葉を聞いた夏美は、ケロロが勘違いをしている事に気付いた。
どうやらケロロの故郷にこの香りと同じ匂いを持つ植物があるらしく、しかもあの勢いからると恐ろしい物らしい・・・・。
しかしそんな訳の分からない理由で、この洗剤を使うのを止めるのは嫌だった夏美はその事を訂正しようとした。

『はぁ!? 何言ってるのよ? これはいま大人気のダ・・・・!!』

『し―――――っ! ダミでありますよ―――――っ!?』

夏美がある言葉を言おうとした途端、ケロロはその言葉を遮ろうと顔に張り付いた。

『ぐ・・・軍曹!?』

その滑稽かつ何とも言えない妙な姿に、冬樹が訝しげな声を上げる。夏美もまたバタバタと手足をばたつかせ、何とかケロロを引きはがそうとするが思うようにいかない。自分の考えるよりも遥かに強く、ケロロがしがみついているからだ。
これはこの洗剤を使う使わないの話よりも、ケロロを落ち着かせる方が先だと流石の夏美も思った。そしてどうにか身体の半分を引きはがした所で、ケロロに声をかける事に成功した。

『・・分かった・・・・あんたが必死なのは分かったから、取り敢えずは・な・れ・て・・・・・っ!?』

夏美のその言葉に、ようやくケロロは身体の力を抜き夏美の顔から引きはがされた。

『っふは――――っ!?・・・・あぁ、苦しかったぁ〜〜〜。』

『姉ちゃん、大丈夫?』

『何とかね。それよりもコレ・・・どうする?』

駆け寄り心配する冬樹の目の前に、夏美は尻を掴まれたままダランと力無くぶら下がるケロロを差し出した。
そのケロロの姿に、冬樹は苦笑いを浮かべながらも話し掛けてみた。

『軍曹?・・・落ち着いた?』

『・・・・冬樹殿・・・・』

冬樹の言葉でようやく顔を上げるケロロだったが、その顔は半ベソをかき大きな目を更に大きく潤ませていた。
その姿を冬樹は情けないと思いながらも、ようやく通常通りのケロロに戻った気がした。そしてつい、話を戻してしまう。

『大丈夫だよ、軍曹。この匂いはね、洗剤の匂いだよ。いま流行っているダウ・・・・・』

『だからダミだって――――っ!?』

その後は夏美と同様の羽目にあう冬樹だった―――。

『ちょっと、ちょっと〜〜〜?誰か〜〜〜何とかして〜〜〜〜。』

半分呆れた様に助けを求める夏美の耳に、窓を開ける音とギロロの声が聞こえてきた。

『夏美、冬樹。いま帰ったんだが、土産・・・何をしとる・・・・?』

帰宅早々倒れ込む冬樹に覆いかぶさるケロロと、困り果てた夏美の顔を見たギロロは思わずそう問い掛けてしまった。
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