(´ω`)φ【wammy's invention laboratory】


□「箱入り息子《 困った質問 》」(さる作)
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昔・・・・オプティマスに困った事を聞かれた事がある・・・・。

『ねぇ、アイン・・・・赤ちゃんて何処からくるの?』

確かオプティマスが士官学校に入学して、1年経つか経たないかの頃だったな・・・。その時の俺はまだ子供だったが、一応基本的な事は知っていた。無論、思春期に差し掛かる頃なので気恥ずかしくて答えられる訳も無い。この頃には戻って来ていたセンチネルも、答えに困りそそくさと何処かへ行ってしまう始末だ。
子供心に《大人が説明しなくて如何すんだよ!》と思ったものだが、現在になったいまならそれも良く理解できる・・・・・。純真無垢な質問は、大人になればなるほど答えにくくなるのだ――――現在の俺のように。

『・・・・アイアンハイド・・・・?』

難しい顔をしたまま黙り込んでしまった俺に、オプティマスは不安げな声を出す・・・。あぁ・・・・ここにもデジャヴが・・・・あの時もこんな顔をして待ってたっけな・・・・で、あるだけの知識と小さい兄貴分のプライドでシドロモドロに答えたっけ・・・。

『・・・あ、赤ちゃんはお前のお嫁さんと一緒に、未来から来るんだ! だから立派な大人にならないと駄目なんだぞ!?』

・・・・・・・・何とも甘酸っぱい思い出だが・・・いい大人になった俺がこの地球に来て、その時と似たような問いをオプティマスに再びされるなんて誰が予想できた?

『あの・・・やはり自分で考えた方が良いのか・・・・?』

『いや・・・・出来ればそれは止めとけ。お前は真面目に考えすぎる・・・それで・・その・・・すまんがもう1度質問して貰えるか?・・俺の考えが間違っていなければ、俺はお前の育て方をかなり間違えたかも知れない・・・。』

眉間にしわを寄せ頭を抱えながらそう言う俺に、オプティマスは本気に真面目にこう答える。

『そんな事ある訳が無い! アインは・・・アイアンハイドは良き兄であり、私の大切な親代わりだ!? アイアンハイドが居てくれたから、私は強くなれたと言っても過言ではない!!』

おぉ・・・力説、ありがとうよ・・・。じゃあ・・・なんで俺は現在、オプティマスにこんな事を聞かれているんだろうか・・・・?

『え・・・と、もう1度言うとだな・・・その・・・メガトロンに身も心も貰うと言われたは良いが・・・意味が・・・その・・イマイチ理解出来てないのだ・・。このままではメガトロンに対して、不誠実な行動をしてしまうかも知れない。だからそうなる前に、詳しい内容をアイン・・・アイアンハイドに教えて貰おうかと・・・駄目だろうか・・?』

『・・・・ここは俺とお前しかいない。無理せずアイン″と呼べ・・・つうか何で俺なんだ? 一応ジェットファイヤーもセンチネルも居るんだぞ?』

『無論聞きに行ったが、2人ともお茶ばかり飲んで一向に答えてくれないのだ。』

少し拗ねたような顔をしながらそう言うオプティマスの答えに、俺は感慨深い思いに駆られた・・・・・爺共! 人に難問押し付けるんじゃねぇよ、こんちくしょう!!

『そ・・・か・・・まぁ、そう言う事からかなり遠ざかってるからな聞かれても困るんだろう。』

思わず叩いた憎まれ口に、オプティマスの問い掛けが来る。

『そう言う事"・・・と言うのは、センチネルやジェットファイヤー程の者からは遠ざかるものなのか? そうだとしたら私はまだまだ若輩者故、そう言う事"に近付いてさえいないと・・・? そう言う事か?』

大真面目にそう聞いてくるオプティマスに、俺は大慌てで訂正をした。

『違う! そう言う事じゃない!? 比喩的表現・・・物の例えだ!! あ〜〜〜・・・つまり・・・あいつ等は年寄り過ぎて、そう言う機会を持てなくなってきただろうなぁ・・・って事だ。』

『歳を取ると機会が持てなくなるのか・・・アインはどうなのだ?』

『は? 俺か? 俺もここの所ご無沙汰だが、良いなと思う奴はサイズが・・・・って! 話が違うだろう!? 兎に角・・・本っ当に分からないんだな?』

『分かっているのなら、こんな風にアインに相談したりしない。それに・・・・こんな事を聞けるのは、アインしかいない・・・。』

そう言いシュンとしょげるオプティマス・・・まぁ、確かに他の奴に聞いたら驚いて固まるか・・・・ジャズ辺りは実践してみましょうとか言いそうだしな。メガトロン自身に聞いたら、2日位帰って来れなさそうだ。

『・・・・はぁ・・・・』

がくりと肩を落とし深い溜息を付く俺に、オプティマスは困った様に首を傾げる。それを上目遣いで見ながら、俺はブレインをフル回転させ考えた。

このままにしておけば、何の知識もないままメガトロンに・・・・・。
でもここで少しでも教えておけば、そう言う場面になっても慌てなくて済むし・・・。
さりとてこんな気恥ずかしい事を、素面で言えるのか?
多少恥ずかしくても、俺がやらなきゃ駄目だろうが。
・・・・・・・例えそれが俺の意に沿わない事でも、オプティマスは真剣に考えて聞いて来ているんだからな・・・・本当に不本意だが。

『〜〜〜〜分かった、教えてやる。』

俺の言葉にオプティマスの顔がキラッと輝く。あぁ・・・もう、誰がこんな風に素直な育てたんだ! 俺だよ!?

『ありがとう、アイン!』

心底嬉しそうに言うオプティマスに、俺は苦笑いを浮かべるしかなかった。

『いや・・・良い。それよりも・・・・その、先ずはお前の知っている知識を俺に教えてくれ。それを聞かない事には何も始まらん。』

『私の? ・・・・どの知識だ?』

キョトンとしたままのオプティマス・・・これは俺から質問して、その答えから導いた方が良いかもしれないな・・・。
そう思った俺は、改めてオプティマスに質問した。

『あぁ・・・それじゃあ・・・先ず、簡単な事から行こう。お前、メガトロンの事をどう思っている? 照れずに・・・は無理でも、正直に答えてくれ。』

そう聞いているうちにみるみる頬が染まるオプティマスは、一瞬間を置いてから少し小さめの声で答える。

『・・・・あの・・・・す・・好き・・・だ。』

その照れながら言う様が、普段のオプティマスからはまったく想像出来ないくらいだ。

『そ、そうか、じゃあ話は早い。え〜〜・・オプティマス! お前・・・その・・・俺達種族の繁殖については勉強はしたよな?』

『無論だ。お互いのデーターを組み合わせ、意識を深部までシンクロ・・・その後に培養液内で成長させる・・・培養液に入り成長する過程は、この星の生き物達の《妊娠初期》・・・つまり進化過程における魚類、若しくは爬虫類期に類似している・・・これが何か関係あるのか?』

そう言う事はすらすら出るんだな・・・相変わらず勉強熱心な事だ。

『そうだ、特に人間は全進化過程をその体内で済ませ、俺達の知っているいまの形で生まれてくる・・・サムもレノックスもだ。』

俺の言葉に相変わらず?マークを出しっぱなしのオプティマス・・・それだけ勉強熱心なのに、何故そう言う事の知識は得られないんだ? まさかセンチネルがそう言う事は後でで良いとか何とか言って、情報が入らない様にしたんじゃないだろうな?

『いまの答えを総合して答えを導いても、私の質問とどう繋がるのかが分からないんだが・・・?』

『だから・・・その・・・そう言う繁殖すると言う事は・・・つまり・・・。』

『ふむ?』

《ふむ?》じゃねぇぇぇぇ! これはいったい何のプレイなんだ―――!?
俺は自分の気恥ずかしさを考えない様にし、一気に最後までまくし立てた。

『繁殖行為イコール接続行為だろうが! だから・・・その・・・メガトロンの言う《身も心も》は、お前とそう言う事をしたいって事なんだよ!? お前は何だかんだでメガトロンに心を奪われただろう? そうなったら次は・・・そう言う事だ。 サムもミカエラに良くそう言ってたろうが・・・《身も心も全て君のもの》だって。聞いちゃ無いが、レノもそうなんじゃないのか? 兎も角、恋人同士の次の段階に進む・・・進みたいってメガトロンは言ってるんだよ。理解出来たか?・・・・・オプティマス・・・・?』

一気にまくし立てたからか、それともこんな気恥ずかしい事を言ったからか俺の顔はかなり熱くなっていた。自分で見なくとも赤くなっていると分かる位にだ。しかしそんな俺とは正反対に、オプティマスはだんだん蒼褪めて行く・・・・意識がここに在るかどうかさえ怪しい位だ。

『おい・・・オプティマス? 大丈夫か? どこか重要な回路でも止まっちまったのか??』

目の前でひらひらと手を振ってみても、オプティマスは一向に反応を示さない。そこで俺はオプティマスの頬を軽く叩いてみる事にした。

『おい・・・・おい、オプティマス!』

ぺちぺちと叩かれ、目の前で大きな声を出して初めてオプティマスは意識を取り戻した・・・・もしかして・・・・気を失ってたのか・・・?そんな事を考えていると、オプティマスの顔がありえないくらい真っ赤に染まって行く。このままいったら溶解してしまうんじゃないのかと思える程だ。

『お・・・おい・・・・大丈夫か・・?』

俺がそう声をかけると、オプティマスは俺の視界を遮りながらこう話し始めた。

『わ・・・私はてっきり・・・・互いに気持ちを確かめたから、今後は2人の時間を増やしてとか・・・・そう考えて・・・・だけどそれにしては念を押す様な《身も心も》と言う言い方に合わなくて・・・・だけど・・・まさか・・・そんな・・・繁殖とか・・せ・・・接・・・続とか・・・・・・だいたい私は未だキスも精一杯なのに、これ以上の事をどうやって・・・・・・・!? 良く考えたら・・・・わ、私は何と言う恥ずかしい事をアインの口から・・・・・すす・・・すまん!! 今日の事は忘れてくれ!!』

もう最後の方は物凄い早口で、良く聞かないといけないほどだった。しかも顔を見て欲しくないのか、俺が手を退かそうとしても必死になって顔を背けたり手を出したりする。
確かに恥ずかしくはあったが、俺の責任でもあるからと説明したんだ。だいたいこんな話、忘れられる訳無いだろうが!?

『ちょ・・・オプティマス・・・落ち着け。俺の事は別に良い、肝心なのはお前がキチンと理解出来たかどうかだ。で・・・?どうなんだ?』

無言のままコクリと頷き、ようやく手を下ろしたオプティマス・・・恥ずかし過ぎて疲れてしまったようだった。そりゃそうだろ、俺も戦うより疲れたからな。

『分かったんなら良い・・・だけど、早計な事はするなよ?』

『早計って・・・無理だ・・・未だ・・・そんな事、考えられない。』

力無くそう言うオプティマスに、俺は頭を撫でながら同じ様に力無く答えた。

『分かってる・・・そう言うのはゆっくりで良いから、あんまり深く考えないようにしろ。そう言うのは時間の経過とか、気持ちの問題だからな。お前もメガトロンもそう言う気持ちになったらすれば良い・・・・にしても、お前はこう言う知識無さ過ぎだ・・・・まぁ、あいつはそう言うお前が気に入ってるんだろうがな・・・。』

『そうなんだろうか・・・?』

『そうだと思うぞ。』

気が楽になるようにと笑う俺に、オプティマスも笑顔を返してきた。その後は互いに落ち着こうと、コーヒーを淹れて飲んで眠った。
コーヒーを飲むオプティマスの顔は未だ赤かったが、過剰な心配は要らなさそうだ。俺はその顔を眺めながら、どうかメガトロンの忍耐力がもう少し続きますようにと願うばかりだった。

次の日の午後・・・自分のメンテナンスにせいを出す俺の元にメガトロンがやって来てこう言い放った。

『おい・・・貴様、オプティマスに何を言った。』

俺は急に話しかけられたのと、話の内容が把握できなくて声を詰まらせる。その俺にメガトロンは腕を組み、苛立たしそうにしながら言葉を続けた。

『今日も何時もの様にキスを楽しんでいたんだが、一瞬腰を抱き寄せただけで思い切り逃げられた。まぁ・・・直ぐに捕まえ問い詰めたんだが、夕べ貴様に何か言われてそれを思い出して混乱したと言うではないか!?』

その言葉でようやく話が繋がった俺は、どう説明したものかと考え込んでしまった。
何故ならメガトロンが皆のいる格納庫で大声を出し、俺に息巻いているからだ。当然・・・うちの若い奴等も寄って来る訳で、そんな中でオプティマスの相談内容なんか言える訳も無く・・・・・・俺の前に立ちはだかるメガトロンの後ろにいるオプティマスは、オロオロしながらもメガトロンを止めようと必死だ。
後で説明すると言っても聞きそうに無いな・・・そんな事を考えながら、何だか目の前が暗くなるある日の夕暮れだった―――。       《完》
 

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