(´ω`)φ【wammy's invention laboratory】


□「春爛漫 〓 stand or fall by Blooming Heart 〓 [偶に、要英俗語訳]」(さる作)
1ページ/2ページ

ある日の午後・・・クルルとギロロが喧嘩をした。

原因は割合いくだらない事で、春を感じる瞬間について話をしていたのがその理由だ。

『地球の暦で豆まきをしたら、次の日から春だと言うではないか!?』

と、ギロロが言えば。

『そんな暦がどうとかより、暖かくなったかどうかとか気温とかじゃねぇの?まったく・・・これだから古臭いおっさんはよぉ・・・。』

と、クルルが答える。
しかし聞いてる周りの者にしてみれば、ぶっちゃ気かなり如何でも良い痴話喧嘩にしか聞こえない。
だから2人が味方を増やそうと、皆にどう思うかを聞いてくるのは迷惑極まりないのだ。

『ケロロ! 貴様はどう思う!?』

『隊長は俺と同じ考えだよなぁ?』

『ゲロ!? 我輩でありますか!? ・・・・わ、我輩は・・・・・;;;た、タママはどうでありますか?』

『ぅえ!? ぼぼぼぼ僕ですかぁ!? 僕はお菓子の新作が出たら春だなぁって・・・・て言うか寧ろ、そう言う事はドロロ先輩にぃ!!』

『えぇ!? こんな時ばっかり思い出すの――っ!? えええええと・・・季節感て言うのは、人それぞれだし・・・・』

『泥沼先輩の意見は参考にならねえなぁ。』

『まだ途中だろうが! 貴様は何時もそうだ!? 人の話を途中で切るわ、難癖付けるわ・・・・まともに話も出来んのか!!』

『はぁ? それを言ったらギロロセンパイだってそうなんじゃねぇの?自分が負けそうになると、そうやって大声出してよぉ・・・。頭、悪いんじゃねぇの?』

『何だと―――!?』

『何だよ・・・!?』

まるで猫の喧嘩のように、お互いが毛を逆立て威嚇しあっている。その様子を困った顔で眺めるケロロ・タママ・ドロロは少しずつ後退りしそっと部屋を後にした。

『・・・・ぷふ〜〜〜〜・・・・やっと息ができるですぅ。』

『まったく・・・あんなくだらない事で、よく喧嘩できるでありますなぁ。』

『それだけ仲が良いのかも知れないでござるが、我々を巻き込んでいくのは些かこまり申すな・・・・ここは一旦引いて、後で纏める事に・・・・って・・・・あれ?』

話を続けるドロロを無視して、ケロロとタママはおやつでも食べに行こうと話しながら遠ざかって行く。それを見たドロロは当然の如くトラウマスイッチONになり、廊下の片隅で小さく丸くうずくまる事となった。
そんな外の状況を知ってか知らずか・・・・クルルとギロロは同じ室内で、互いに背を向け別な事をし始めていた。と言ってもギロロは何時もの武器磨き、クルルはシステム開発の為にPCを開くと言う日常的な行動だった。しかもかなり苛々していて、心此処に非ずな状態でもある。そんなに同じ室内にいるのが嫌なら、どちらかが出て行けば良い事なのだが負けを認めるようでそれは互いにしたくなかった。
まことに似たもの同士・・・意地の張り合いである。

《まったく・・・・あいつには情緒とか季節感とか、そう言うものは無いのか!何時も何時も屁理屈ばかり捏ねて、理論ばかりを振り回す。俺は頭は良い方ではないが、それなりに知識も経験もあるんだぞ!?少しは先輩を敬うとか何とかしたら如何なんだ!!》

《まったくよぉ・・・ああやって頭ごなしに怒鳴り散らせば良いと思ってよぉ!だから頑固オヤジは困るんだよ。頭ばっかり固くて、人の言う事なんざ微塵も聞きやしねぇ・・・データーに基いて言うんだから、少しは年上らしい計らいで年下の事を大事にしろよな・・・。》

そう思いつつ・・・・チラリと横目で相手の方を盗み見る。そして互いに見ている事に気付き、慌てて目を逸らす。気まずい・・・。

《何だよ・・・何で見てんだよ・・・何か気にしてんのかよ。いや・・・俺がどう動くか伺ってるのかも知れねぇ・・・ここは無視だ無視!先に動いた方が負けだ!?》

《何だ・・・何で見てるんだ!?俺が悪い事したみたいじゃないか!?・・・いや、俺がこの先どう動くか見ているに違いない・・・ここは焦らずクルルの出方を待つんだ。先に動いた方がやられる・・・・!?》

互いにそう想い合う辺り、既に負けているような気もする・・・・。しかも1度気になったら止まらないのが世の常でもある。
気になりつつも振り返れないジレンマに、2人は時計の針の音が気になり始めていた。

《・・・・・未だ5分も経ってないのか・・・・。何だか時間が経つのが遅い気がするが、あいつが何かしているんじゃないだろうな・・・・?時計の音もやたらとでかいし・・・まさか!こうやってプレッシャーをかける事で俺を追い込む気か!?・・・・だとしたら容易く掛かってなんぞやらんぞ!!》

《未だ5分しか経ってないのかよ・・・・何なんだよ・・・この威圧感はよぉ・・・・そうやって俺に何か行動させようってしてるのかぁ?・・・・時計の音がうるせぇくらい感じるし・・・・まさかセンパイがこんな行動で俺様に仕掛けるなんてよぉ・・・・侮れねぇぜ・・・!!》

見てるこっちは最早、如何でも良い夫婦喧嘩にしか思えません。
しかし2人は未だ譲ろうと言う気持ちにはなれない様で、貧乏ゆすりをしてみたり忙しなく手を動かしてみたりと落ち着かない様子。
相手を見てみたいと言う誘惑に必死に抗っているせいか、だんだん挙動不審な行動をし始めました。

クルルはプログラミングしていた筈なのに何時の間にか自分のギロロコレクションにアクセスしていたり、ギロロも武器の手入れをしていた筈の手には何故か手鏡を持って自分の背後を見ている事に気付く。

《《 はっ!? 何やってんだ、俺は!! 》》

同時にそんな事を思ってみたりするも、やはり意地でも首を動かさないように頑張っています。これは最早苦行と言わざるを得ません。

《あああああああ・・・・何やってんだよ俺は!?こんな可愛いセンパイコレクション見たら、顔が緩むに決まってるじゃねぇか!!うんにゃ、駄目だ・・・ここで俺から行ったら、今後の主導権が危うくなる・・・。耐えろ・・・・俺、耐えるんだ!!》

《ああああああ・・・・何をやっとるんだ俺はぁぁぁぁぁぁ!?こんなあからさまに見てたら、クルルに馬鹿にされてしまうじゃないか!?・・・・確かに頭ごなしに言ってしまったが、ここで俺から行ったら今後の付き合いに支障がぁぁぁ・・・・耐えろ・・・俺、耐えるんだぁぁ!!》

段々と論点と言うか、喧嘩の原因から遠ざかった思考になってきています。どれだけ仲が良いんでしょうか?しかし・・・何故こんなタイミングで手鏡が?とギロロが疑問に思っていた所、目の端に何か蠢く気配がしました。いまココには自分とクルルしか居ない筈と、疑問に思ったギロロはその姿を確認しようと顔を上げ蠢いた方向へと顔を向けてみると・・・・。

『ガ・・・・・ガルル!?』

何とそこには次のアイテムを手に、ギロロの横に座るガルルの姿がありました。これには流石のギロロも驚き声を出してしまいます。そのギロロの口を瞬時で塞ぎ、クルルの方へと鋭い視線を向け動向を探ります。
クルルはあんなに大声で驚いた割には、相変わらず背中を向けたままPCを弄っている様子・・・・ホッと胸を撫で下ろします。
しかしその手の中のギロロは少し息も絶え絶えな感じが・・・・・それに気付いたガルルはそっと手を外しました。

<・・おぉ・・・スマンスマン・・・>

小声でそう言いながら、ギロロの背中をさすります。が、ギロロは息を整えるのに精一杯な様子です。

<何だこれ位の事で・・・少し訓練が足りんようだな・・・地球侵略は私と変わるか?>

『〜〜〜だからそれは・・・!?』

ようやく反論しようとするギロロの口を、シーッ!と言いながら再び塞ぐガルルはやはり小声で言いました。

<声を鎮めろ!相手に気付かれてしまうだろう!?>

ガルルの言葉に頷こうにも、頭までしっかり押さえ込まれているギロロは動きようもありません。そして息苦しさにガルルの腕を何度も叩きますが、ガルルは気にもとめない様子・・・もしかしてワザとやってるのかと思うギロロでした。しかし如何にかガルルの手から逃れ、呼吸を荒くしながらも何とか反論する事ができました。

<・・・ぷは・・・・!?貴様はいったいどこからわいて出た!?と言うか、何でここにいるんだ!!>

<いや・・・ケロロ君から連絡を貰ってな・・・クルルとギロロが喧嘩して、手におえないから何とかして欲しいでありま〜〜す。"と言うじゃないか。我々もそんなに暇でもないのだが、たまたま近くを通り掛っていたのでついでに寄ってみたと言う訳だ。そんなに感謝しなくても良いぞ?>

<どぅわれが感謝なぞするか――――っ!?ケロロの奴も余計な事しやがって・・・・これでは余計に謝れないではないか・・・・>

後半・・・聞き取れないくらい小さな声で言うギロロ・・・・ついに本音が出たようですね。しかしそんな風に話したりしているギロロとガルルに、クルルは本気で気が付いていないようですが・・・・実は自分の見ていたPCが原因のようです。

<・・・・これは昨日、猫と一緒にうたた寝してる所を撮ったんだっけ・・・・本当・・・黙ってればこんなに可愛いのによぉ〜〜。いや、起きてても可愛いんだけど・・・なんつうか倍増?・・・・しかし・・・おっかしいよなぁ・・・・春になったら2人でどこか行こうかって言うつもりが、なんでこんな風になっちまったんだ?こうなると頑固なセンパイは、当分動かないだろうしよぉ・・・・って・・・・あれ??何か画像が・・・・・・おかしいって・・・・にょ―――――――っ!?>

猫と共に眠るギロロの写真が映るモニター画面がいきなり乱れ、一瞬にして戻ったかと思うと次の瞬間には大人しか見てはいけませんサイトのTOP画像になっているではありませんか!?しかもそのTOP画像には、何故か猫耳メイド服姿のギロロが恥ずかしそうに銃にキスをしている姿が!!

<なななななな・・・・・こ、これは!?・・・保存保存・・・と・・・・じゃなくて!!なんじゃこりゃ―――――っ!?いったいどこのどいつが・・・・いや・・・・この俺様のPCにこんな事をする奴は、1人しかいねぇなぁ・・・・・・・。こんな時にこんな良い写真・・・じゃなくて、悪戯しやがって・・・・タダじゃ悪い・・・でもなくてタダじゃおかねえからなぁ〜〜〜。>

・・・・・はっ!?すみません、いまちょっと意識が・・・・と、兎も角誰かの悪戯に対抗するのに意識を集中しているから聞こえていなかったが正しいようです。さっさと仲直りして自室にでも篭って下さい。
さて、そんなクルルを知る良しも無いギロロは、ガルルと話を続けているようです。

<で、ギロロ・・・この後の作戦は考えているのか?>

<はぁ?作戦ん??>

訝しげに聞き返すギロロに、ガルルはギラリと瞳を輝かせこう告げた。

<そうだ、敵を完膚なきまでに殲滅するには作戦をどう立てるかが重要な鍵になる。良いか、ギロロ!どのような状況においても、常に冷静な思考を巡らせられるかが勝敗を決めるのだ。お前は小さな時からそれが苦手であったが、いまの状況はそれを鍛えるに相応しい事態でもある。クルル曹長の次なる手を予測し、それに対応した手を打てば必ずや相手が平伏してくる筈だ。>

<何だか分からんが、妙に説得力のある言葉だな・・・・しかし、あのクルル相手に先手を打つとなると正攻法が通じるとは思えんのだが・・・。>

ギロロの言葉にギラリと目を輝かせると、ガルルは一気にギロロとの距離を縮めこう言った。

<そこでだ!・・・・良いかギロロ、あまつさえ捻くれている奴は、お前がこの先どんな手を使うか等容易に予測が付き完璧に対応してくるだろう。だがここで奴の思考を逆手に取り、何の変則も使わない正攻法で行く方が良いのだ。>

<分かった・・・・・分かったから0距離は止めんか――っ!?>

<ん・・・?兄弟なのだから、別に気にする事もなかろう・・・・相変わらずな照れ屋さんだな、ギロロは。>

はっはっはっと軽やかに笑うガルルに、ギロロは頭痛を覚えた。

<誰が照れやさんだ・・・・と言うか、どこでそんな言い回し覚えたんだ・・・?>

顔を顰めながらそう聞くギロロに、ガルルは小首を傾げながらあっさりと答える。

<ん?いや、プルル看護長が貸してくれた雑誌の中だが・・・・中尉はもう少し勉強したほうが良いですよ?"とか言っていたので、中身を全て暗記したのだが使い所が良く分からなくてな。応用所を間違えたか?>

その答えに益々頭を抱えるギロロは思った。
《兄ちゃん・・・プルルは自分に何か言って欲しくて、その本貸したんじゃないのか・・・・?》
鈍いギロロでも分かる女心を、イマイチ理解出来ていないガルル・・・。色んな意味で前途多難ですね。

<ま・・・まぁ、その辺は俺もアドバイスするほど経験が無いのでな・・・クルルに対しての意見は参考になった。早速実行するとしよう。>

<うむ・・・健闘を祈る。>

ギロロはそう言うと大きく深呼吸し、PCに向かって熱中しているクルルの方へと向き直った。相変わらず背中を向けたままのクルルに、先ず何と声を掛けたら良いのだろうか?と悶々と考え込んでしまう。

《ううむ・・・・何と声を掛ければ・・・いや、そもそもこんな風に考え込むのが悪いんだろうか?考えて考えて考え込んだ先の言葉を、あいつは何時もさらりとかわして嫌味を言ったり手玉に取られたりしているんじゃないか!で・・・結局なし崩しにリードを取られて・・・・・やはりここはガルルの言う通りに、何も作戦や言い訳じみた言葉は無しに率直に言えば良いのだ!!男らしく、年上らしく!俺が言い過ぎたと!?》

頭がゆだってるのかと思うくらい顔を赤くしながら、ギロロはすっくと立ち上がると何の躊躇も無くクルルの元へと歩いて行った。
その姿を感慨深げに見守るガルルも、何だか緊張している気がします。そしていよいよクルルの真後ろに立ち、声を掛けるべく心を落ち着けようとしています。
息が荒いせいか、パッと見て物凄く恐いです。

《よよよよよよ――――し!行くぞぉ・・・『クルル、俺が言い過ぎた。』だ・・・息を整えて・・・・!?》

『ク・・・クル・・・ル?』

思い切って声を掛け、その顔を見ようと覗き込んだ瞬間・・・・・ギロロの目にとんでもないモノが飛び込んで来た。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ