(´ω`)φ【wammy's invention laboratory】


□「チョコのお味は? 《 TF Version 》」(さる作)
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季節は巡り、現在は2月・・・男女とも心騒ぐバレンタインディの季節がやってきた。

ここN.E.S.T基地内でもレノックスやエプス他隊員達が、誰に贈るかor贈られるかの話題で朝から賑やかだった―――。

『俺か?勿論サラと愛娘に贈るさ。』

とレノックスが言えば。

『俺もそうっすね、後は向こうからも送られて来れば文句は無いっす。』

とエプスが答える。普段の緊張感も男臭さも全く無い会話・・・そんな話題があちこちでされる中、何の話をしているのか分からないのがオプティマスを含むオートボット達である。無論興味の対象は直ぐに検索・認識するのが彼等の特性でもある。

『レノックス達はいったい何を話しているのだ?』

『あぁ・・・オプティマス・・・あれはですね、地球のある地域における恋愛慣習らしいですよ。好む異性に花やチョコレートと言うお菓子を贈り愛の告白をする日らしい。』

不思議がるオプティマスに、ジャズが早速検索したての情報を答えた。するとオプティマスは、かなり興味深げな反応をし《ふむ》と大きく頷いた。

『中々興味深い情報だ。』

『でしょう?私も大いに興味をそそられましたよ。特に《愛の告白》と言う部分にね。彼等は意思の疎通に何かを代用したり、きっかけにしたりと変化に富んでいる。これは我々には無いモノです。最近では友人間でも贈ったり贈られたりするらしいですから、厳密に言えば《愛の告白》するのは恋人同士や恋人未満の人間だけの様ですが。』

何か含みのある言い方だが、オプティマスの興味は《愛の告白》や《恋人同士》にあるようだった。

『・・・・そうか。ではサムやレノックスは贈る相手がいて、その行為により更に愛を育むと・・言う事なのだな?』

その余りに予想通りの反応に少々ガッカリするジャズだったが、そこは億尾にも出さず優しく微笑みながらこう答えた。

『その通り。私は平和で良い慣習だと思いますよ。』

そのジャズの笑顔につられて、オプティマスも微笑んでみせる。そうしてから何故か考え込み始めた。その様子を眺めていたジャズは、背後から突進してくる双子とバンブルビーの気配に気付き振り返る。
何故か3人は我先にと急ぎ、オプティマスと自分に向って来ているようだった。手には何か箱を持っている。ジャズは嫌な予感に囚われていた。

『オプティマスとジャズ、見ツけた――っ!?』

『俺が、俺が先―――っ!?』

《ビ――――ッ!!》

『こ・・・こら―――っ!止ま・・・・おおぅ!!』

先ずジャズが猪の様な3人の突撃を受け、その場に倒れこんだ。その物凄い音に驚き、オプティマスも振り返る。

『・・・ジャズ!?・・・お前達、何をしている!?』

ジャズが3人の下でもがいているのに、3人はそのままの状態でオプティマスに説明をし始めた。

『えト・・・ラチェットが言っテた。』

『2月は大好きな人にチョコをあげても良いんだって!』

『ダから俺達、皆にチョコあげヨうと思っテ持ってきタ。』

『そうそう!ビーも同じ!?これ、ジャズとオプティマスにあげる!!』

はしゃぐ双子を見詰めながら、バンブルビーもうんうんと頷きオプティマスを見詰めた。そして徐にチョコの入った箱をオプティマスに照れ臭そうに差し出す。

『おぉ・・・・そうだったのか・・・・。それは嬉しいな。嬉しいのだが・・・・早く退いてやらないと、大好きなジャズがお前達の重みで潰れてしまうぞ?』

3人は頬を染め嬉しそうにそう言うオプティマスの言葉に一瞬考え込み、直ぐに何か思い出したかのように自分達が踏んでいる何かに視線を投げる。

『・・・・・あ!ジャズ、こんなトコにいた!?』

『ジャズ、俺達チョコ持ってきた!あげるあげる、これあげる!?』

《キュ――!?》

3人はジャズの上から降りると、一斉にチョコの入った箱を笑顔で差し出した。その満面の無邪気な笑顔に、ジャズも怒るに怒れず痛む頭を擦りながら照れ笑いする。

『・・・・仕方ない奴等だなぁ・・・・はい、ありがとう。大事に食べるよ。』

『わーい!受け取った!?』

『ジャズも俺達のこト大好き!!』

双子の言葉に驚くジャズとオプティマスだったが、慣習通りの意味を取るならばそう言う風に捉えられても当り前だと納得する。そしてその場面になり、ようやくバンブルビーが掠れた声ながらも自分の声で言葉を紡いだ。

《・・・ビー・・も・・・ジャズ・・・・好き・・オプティマス・・も・・大好き・・・嬉し・・・。》

そしてニッコリと微笑んだ。これにはクールなジャズも破顔一笑である。

『な・・・・・可愛いなぁぁぁぁぁ!こんちくしょぉぉぉぉ!?』

《ビ――――――っ!?》

何時ものジャズはどこへやら・・・・バンブルビーにハート乱舞状態で抱きついた。

『あ―――っ!ビーばっかりずるい!?』

『オレも、オレも抱っこしテ――っ!!』

いきなり抱きつかれて戸惑うバンブルビー、自分も抱っこしてくれと騒ぎジャズの背中や腕に絡み付く双子・・・それを嬉しそうに抱きとめるジャズ。
成程、バレンタインと言うのは良い慣習なのだなとオプティマスは目を細めながら改めて思った。さて・・・1度そう言う場面を見てしまうと不思議な物で、次々にそう言う浮き沈みを目撃してしまう。
アーシー'Sにチョコを贈られ、喜び束の間親睦の意味と言われやや落ち込むディーノやジョルトの若手達。ラチェットは最早チョコを作る方が楽しいようで、作っては近くにいる誰かに手渡しバレンタインの説明をしている。N.E.S.T内にも若干の女性隊員が、お互い用意したチョコを配給の様に配っている。無論中には本命チョコも混ざっているようだ。
レノックスやエプス既婚者は落ち着いた物だが、やや高級なチョコを贈られたりしてやはり笑顔になったりしている。オプティマスはその様子を眺め、自分が微笑んでいる事に気が付いた。そして見ている他者をも幸せな気分にさせるこの慣習を大いに気に入ったのだった。そんな笑顔のオプティマスに、ラチェットが篭一杯に作ったお手製チョコを手渡しこう言った。

『オプティマス、これをディセプティコン達に贈ってきてくれませんか?』

『これを・・・?』

その大量のエネルゴンチョコを眺めながら、オプティマスはふとメガトロンの事を思い出していた。

『えぇ・・・彼等とは現在友好関係にある・・所謂、友チョコと言うやつですよ。』

ニッコリと微笑むラチェットに、オプティマスは首を傾げながらふと聞き返す。

『それは良い事だが・・・・何故自分で贈りに行かないのだ?』

その問い掛けにラチェットは大きく首を振りながら、困ったような仕草をして力説し始めた。

『おぉ・・・・オプティマス!こんな老いぼれが贈ったチョコを誰が受け取りますか!?こう言う愛らしい物を贈るのは、子供と麗しい者と相場が決まっております!?貴方も御覧になったでしょう?ジャズやディーノ達の喜び様を!?それに私には未だ大人向けのチョコを作ると言う使命が残されております故、是非橋渡し役である貴方にお願いしたいのです。貴方ならば奴等も無碍に断れませんしな。』

未だ作る気なのかと思ったオプティマスだったが、あえて口には出さずラチェットの差し出す篭を受け取り暫し考え込んだ。
自分はラチェットの作ったチョコだろうが有り難く受け取るが、他の者はそうでもないのだろうか・・・・?確かにジャズやディーノや達は嬉しそうではあったが・・・・未だ完全に気を許した訳でもない彼等が、そのリーダーたる自分からこれを贈られて本当に嬉しいのだろうか・・・・?
兎も角・・・こうしていても仕方が無いし、ここはラチェットの言う通りに友好の意を示しに行ってその反応を見てみようとオプティマスは結論付けた。

『・・・・・分かった。ではこれを彼等に渡してこよう。』

『はい、ではこれも・・・。』

そう言いながら、ラチェットはもう一篭をオプティマスに差し出した。いったいどれだけの量を作ったのだろうか・・・・?そう思いながら、オプティマスはディセプティコン達の居住区へと向かって行った。

オプティマスの懸念していた通り、自分の姿を見かけるや否や警戒し始めるディセプティコン達・・・しかしその警戒すべき相手が可愛らしい篭を両手に持ち、その中身から甘い香りを出している事に気付くと警戒が興味や戸惑いに変わって行った。
皆からの注目を受け、オプティマスは何だか恥ずかしくなってきた。よくよく考えれば、こんな花で飾られた可愛い篭一杯にエネルゴンチョコを入れなくても良かったのではないだろうか?しかも2篭も・・・・こう言う物はアーシー'Sの様な女性が持つものではないのだろうか・・・?
気恥ずかしさとこう言う形の注目を受けて戸惑うのが混ざり思考回路が纏まらなくなって来た頃、騒ぎを聞きつけて現れたスタースクリームがオプティマスの前に立ちはだかった。そして徐にオプティマスの持っている篭に視線を落とし、次の瞬間には何とも言えない表情をして見せた。オプティマスはその様子に一気に顔が赤くなるのを感じる。
きっと何を持ってきたんだと呆れているに違いないと思ったからだ。しかし・・・実はスタースクリームはその篭とオプティマスが妙に似合っている事に戸惑っていただけだった。

《 普通、浮くだろ!・・・何でそんなに可愛い物が似合うんだ、こいつは!? 》

そう思いながら再びオプティマスを見る。皆の注目と、その篭を持っているのが恥ずかしいのか頬を染めて落ち着かない様子が妙な気持ちにさせる。

《 ええい!照れるな、恥ずかしがるな!?又それが似合うじゃないか!! 》

そう思いつつ、動揺を隠しながらスタースクリームはオプティマスに話し掛けた。

『そんな物を持って何の用だ・・・?誰に用がある・・・?』

ようやく話し掛けて貰えた事で緊張が解けたのか、オプティマスは満面の笑みを浮かべながら事の成り行きを説明し始めた。
無論その笑顔に何人かのディセプティコンが骨抜きになったのは言うまでも無い。

『おぉ・・・これか?これは地球の慣習で、2月には友人や恋人にチョコを贈る日があるらしい。それで・・その慣習が中々良い結果を齎すのを見ていて・・・その・・・・我々の間でも贈るべきではないかと言う結論に達してだな・・・受け取ってくれるだろうか・・・?』

篭に飾られた花よりも美しく艶やかな笑顔で、そう言われて断れる奴がいるのだろうか・・・・?
瞬間、そう思ったスタースクリームだったが直ぐに我に返った。そして周囲を見回せば、先程の笑顔にやられた連中が自分が篭を受け取る事を期待に満ちた目で見詰めているのに気付く。自分としてはここは受け取らず、毅然とした態度で返したい。
しかしこの期待に満ちた眼差しを裏切り、反感を買うのにはかなりの勇気がいるのも事実だ。普段から反目されてはいるが、この時点でかう反感は通常の数倍・・・・いや数十倍に匹敵するかも知れないと素早く計算した。

『・・・・親愛とか・・・友好の意を込めてと言うのだな・・・?』

ようやく受け取る意思を見せたスタースクリームに、オプティマスは先程以上に嬉しげな笑顔を浮かべ頷く。

『おぉ・・・受け取ってくれるのだな。一生懸命作った甲斐があると言うものだ。』

余りの嬉しさからか、はたまた先程のラチェットの言葉を鵜呑みにしたのか・・・・オプティマスはラチェットが・・・"と言う言葉を付けなかった。
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