(´ω`)φ【wammy's invention laboratory】


□「チョコのお味は? 《 96G6 Version 》」(さる作)
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今日は一年で1番ハートが舞う、バレンタインディ・・・。
ここ日向家でも、朝から夏美ちゃんがウキウキ&ドキドキしているようです。

『え〜〜と・・・これは冬樹・・・これが小雪ちゃん達で〜〜〜これが・・・・・・キャ――ッ!?今年こそ渡せるかな〜〜?』

そこへケロロがひょっこりと顔を出し、色取り取りに飾られた贈り物達を見詰めた。

『な・つ・み・ど・の!・・・・今年も随分用意したでありますな〜〜。』

『ん〜〜?あぁ・・・昨日あんたにも手伝ってもらえたしね。はいこれ・・・お礼も兼ねての御褒美よ。』

夏美はそう言うと、可愛らしくラッピングされた緑の袋をケロロに手渡した。

『おぉ・・・これはかたじけない。まるで催促したみたいでありますなぁ。』

頬を赤くし受け取るケロロに、夏美は少々呆れたように笑いながら答えた。

『な〜〜に言ってるのよ・・・みたいじゃなくて、モロに催促でしょ?皆の分も用意してあるから、帰って来たら渡すって言っといて。』

『それだったら我輩に預けてくれれば、各隊員達に渡しておくでありますよ?』

そう言うケロロの顔をチラリと見ながら、チョコレート達を袋に入れる夏美。そしてカバンと共にそれを持つと、答えを待つケロロに顔を近付けおでこを指で弾いた。

『だ〜〜〜〜め!・・・・あんたに渡すと中身が減るか、壊すかに決まってるんだから。それよりも留守番頼むわよ?』

ケロロはおでこを擦りながら、バツが悪そうな顔をする。

『チッ・・!バレてたであります・・・。』

『あったりまえでしょう?・・・と、もう行かなきゃ・・・じゃね、行って来ま〜〜す。』

『行ってらっしゃ〜〜いであります。』

時計を見て慌てて出かける夏美を、ケロロは玄関まで見送り手を振った。そして夏美に貰ったチョコを開け、中身を1つ口の中に入れる。

『・・・く〜〜〜〜っ!絶品でありますなぁ。流石は我輩と夏美殿、料理の腕は格別であります。』

そう言いながら自室に戻ろうとした瞬間、背後にある黒い物体に激突・・・そのまま玄関下まで転がった。

『ゲロっ!?・・・ゲロ〜〜〜〜・・・・!!』

『軍・曹・さんっ!今年も等身大チョコを持って・・・・・って、あれ?軍曹さん??』

いま直ぐそこにいたケロロの姿が消え、玄関のドアしか見えない状態にタママは首を傾げた。するとその玄関下からケロロがゾンビのように立ち上がり、タママと等身大ケロロチョコを交互に見詰める。

『・・わぁ!・・・軍曹さん!?なんでそんな所から出てくるですぅ!!』

『・・・・・ふ・・・ふふ・・・今年も・・・来たんだね・・・タママ二等・・・。』

『え・・・・?勿論ですぅ!これが無くて、何の人生って感じですぅ〜〜。と言う訳で〜〜はい、軍曹さん!?僕の愛、受け取ってくださいですぅ!!』

重そうな等身大ケロロチョコを、タママは軽々と持ち上げ未だ玄関下にいるケロロに手渡した。当然、ケロロはその重みに耐え切れず再び玄関下に突っ伏す事となる・・・。

『え・・・?ちょ・・・ちょっとタママ!うぉっ!?重・・・・何これ滅茶重・・・・・ゲロ〜〜〜。』

『んもう・・・そんなに照れなくても良いですよぉ。』

巨大チョコの下でもがくケロロを見て、タママは恥ずかしそうにそう呟いたのだった。その2人の様子を監視映像で見ていたクルルは、その遣り取りに呆れながらも実はほんの少し羨ましかったりした。

『へ〜〜へ〜〜・・・お熱い事で・・・。』

何のかんの言って、結局中々良い感じのこの2人・・・。お子様思考なのか単純なのか、良く言えば素直なのか表現がストレートで分かり易い。それに比べて自分達は、何とも分かり難い捻くれ&ツンデレカップルなのだろうか・・・。

『毎年毎年・・・仕掛けるのは俺ばっかりなんだよなぁ〜〜。』

そうぼやき頭をかくクルルは、今年は如何したものかと考えていた。
当日になって考えると言うのもなんだが、今年こそはギロロの方から仕掛けてきて欲しいと望むのもある。

『学校仕立てにしてみたり、自分がチョコ風呂に入ってみたり、格好つけて渡してみたり・・・・色々やってきたけどなぁ〜〜。』

その時のギロロの反応は可愛くて、素直だったり冷たかったりと確かに楽しめる。楽しめるのだが正直に言えば、ギロロの方からも積極的になって欲しいと思う。

『無理だろうなぁ・・・センパイ、ああ見えて意外に繊細だし、照れ屋だし、遅手だし・・・だいたいチョコレートを買いに行く姿なんか想像できねぇし・・・。』

ふと・・・目を瞑り想像してみた。
宇宙人街のバレンタインコーナーで、可愛い物に囲まれそれを物色しているギロロの姿・・・・うん、見た目は可愛いがそもそも無理がある。リアル・センパイは店の前はでは行けるかも知れないが、中に群生する女共の姿とラブリーな店内に押され入る事は出来ないだろう。
きっと店の前を右往左往して、最後には変な目で見られた事に腹を立て俺に怒りながら帰宅するパターンだろうな・・・・。まぁ、今の想像で俺的にはお腹一杯だが・・・。

『クク・・・やっぱり俺から動くようか〜〜?可愛いセンパイに、こんな想いさせるのも可哀想だしよ・・・。』

そんな妄そ・・・ではなく、想像したせいでクルルは急にギロロの顔が見たくなった。所詮は惚れた弱みである。2人してツンデレなのにも問題もあると言う感じもするが、兎も角折角の恋人達のイベントをこのまま見過ごすのも勿体無い。クルルはフッと溜息を付き、椅子から降りるとギロロへ会いに行く為外へと向った。

その頃・・・・ギロロはと言うと1人テントの中で、どこから手に入れてきたのか分からないチョコを目の前に置き考え込んでいた。

『・・・うう〜〜〜〜〜〜〜〜む・・・。』

実はもうかれこれ2時間ほど前から同じ状態のギロロは、もう頭が沸騰寸前にまでなっていたのだ。なのに無理をして考える事を止めないギロロには、実はかなり切実な想いがあった。

《うむむむむ・・・・・・・今年こそ、クルルにこれを渡したいのだが・・・・・どう考えてもおかしい・・・・。満面の笑顔で・・・・いやいや・・・俺らしくない。何時もの様に・・・・これも無愛想すぎる・・・・・ケロロに・・・!頼める訳が無いし、あいつが喰うのは目に見えてる・・・・。あぁぁぁぁぁぁ・・・・・どうしてこう、俺は不器用なんだ―――!?もう、いっその事無邪気なタママニ等になれたらぁぁどんなに楽かぁ―――っ!!》

・・・・・とまぁ、意外に照れ屋なギロロのここ数年のバレンタイン風景である。
実は目の前にあるチョコもクルルと付き合い始めた頃に、タママニ等が気を利かせて購入してきた物だった。

『伍長さん、これで相手のハートをバッチリ掴むですぅ!僕はぁ、買ってきたチョコを溶かして等身大軍曹さんを作るですぅ。そして軍曹さんのハートおぉ〜〜〜〜〜!?』

『そ・・・そうか・・・。』

半ば強引に渡され、それをクルルに渡せないまま早数年・・・・もはや熟成されている事間違いなしのチョコである。
そしてその数年間、バレンタインの度に考え込み悶えると言う事を繰り返してきたのだからある意味凄い。
そして今年も同じ様に1人悶えているギロロは、今年こそ何とかしたいと本当に!切実に願っていた。幸いと言っては何であるが、今年はクルルからの誘いが未だ無い。それを理由出来ないかと思案していたのだが、如何せん恋愛オンチなギロロはそう言う事を考えるだけで精一杯なのだ。しかも考えるシュチュエーションに、ややジェネレーションギャップがあるのも否めない・・・・。既に頭から湯気なのか、煙なのか分からない物が立ち上り始めていた。

『・・・・・ぁぁぁああああああ!?もう、無理だ!俺には無理なんだぁぁぁぁぁ!!』

とうとう限界が来たのか、ギロロは半べそ状態でそう叫びテント内を悶え転がった。すると急に頭に何か柔らかい物がが当たり、ギロロはその感触で一瞬我に返る。

『ぁぁぁああ・・・・・っん?・・・・何だいまのは・・・?』

床に転がったまま上を見上げれば、そこには何故か顔を真っ赤にしたクルルがテントの入り口に佇んでいるのが目に入った。
そのどちらにしても信じられない光景に、2人して凍り付き暫しの沈黙が訪れる・・・。

『・・・・・・な・・・・・く、クルル!どうしてここに!?と言うか・・・まさか・・・・!?!?』

一気に赤いギロロが、真っ赤を通り過ぎ熱した鉄の如く黄金に輝き始める。

『・・・ん・・・・・聞いちゃった〜〜。』

こちらも黄色の体色が顔は赤く、身体はオレンジになる位に照れている。しかし、嬉しそうでもあった。人は驚きすぎると何も出来なくなると言うが、それはケロン人も同じ様でギロロはもう動く事が出来なくなっていた。
床に転がったままクルルを見上げ、余りの恥かしさにワナワナと震えるだけだった。そのギロロにクルルは近付き、頭上近くに座るとその今にも溶けそうな顔を覗き込みこう言った。

『・・・センパイ・・・そのチョコ・・・貰って良い?』

逆さまのクルルの顔が嬉しそうな事に気付いたギロロは、その言葉に驚きながらも観念したかの様に小声であぁ・・"と答えた。勿論、目を会わせられない位恥かしい・・・恥かしいが、ようやく目的を達成できた事が嬉しかった。クルルはギロロの用意していた箱を開けると、案の定白くなりかけたチョコが姿を現した。ギロロは起き上がりながらそれを見て、何だかおかしくなって思わず微笑む。その笑顔につられクルルも笑顔になる。
今年のバレンタインは最高だなと思いながら、手にしたチョコを1口齧りギロロにこう言った。

『・・・ん、美味い・・・・これからも好きだぜ、センパイ!』

その台詞にギロロは目を丸くし、余所を見る。

『・・・・こ、こちらこそ・・・・宜しく・・・。』

腕を組み口を尖らせながらの愛の告白に、クルルのチョコは益々美味しくなりましたとさ。       《完》

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