kira事件､特別捜査本部･二千五◯二号室
□｢DIABOLOS - ﾃﾞｨｱﾎﾞﾛｽ - ｣(さる作)
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その日Ｌは悩んでいた―。ライト君の身辺調査をしていた時に連絡をしてきたナオミが消息不明になった事に対しての疑問と、彼女の残した“手掛かり”について彼に何かを聞くべきだろうか？と・・・。頭の良い彼の事だ・・如何にかして誤魔化されてしまう事は眼に見えている。何より“彼女自身がどうなったか”分からない以上、何の手出しも出来ない事は明白だったからだ・・。話す事で彼に余計な事を詮索されても困る・・彼女の残した“手掛かり”の事は未だ悟られてはいけない・・分かっている事なのに、何故こんなにも悩んでいるのか・・？ワタリにも言われた筈だ。
“好奇心は猫をも殺す・・深入りは危険です。”
しかし、私の心は渇望しているのだ。彼の眼が私を見つめ、その美しい唇が私の名を呼び、その仕草が私に挑む様を見たいと・・・彼と話す度に焦がれる心と、永遠に幽閉したい衝動に駆られている私は悪魔に魅入られた愚者の様に彼の廻りを彷徨っている。その姿を、声を、眼を、全てを私だけの物にしたい・・。だが、もう一人の私は言う。
“彼はキラであり、憎むべき犯罪者・・其れに魅入られたお前も罪深き愚者である。正しき裁きの場に彼を捧げろ。”
人は理性と本能の生き物・・・充分分かっていた筈だが、自分自身が其の狭間でこんなにも苦しむ事になる等誰が予想出来ただろうか？喜びにも似た何かが私を支配し、情恋に似た何かが彼を執拗に追う事を望んでいる・・・今まで味わった事の無い快感に身を任せるには危険過ぎるが、この先の未来彼が居ない事を思えば犯してみたい危険でもある・・・そう考える事事体が既に私が堕落した証拠かもしれない・・私の人生に光も闇も与えた“夜神月”・・彼の人生に“終焉”を与えるも、“転生”を与えるも私次第であり、私に“終焉”を与えるも“転生”を与えるも彼次第である・・。
『如何したんだ、竜崎？何で僕を見つめているんだ？』
私の目の前に座り、話し掛ける彼は“悪”か・・それとも“聖”か・・ふと、昔ワタリが話してくれた事を思い出す。子供が起こす犯罪に付いて話していた時に、彼が呟く様に語った。
『本当に天使が正しい者か等、誰にも分かりません。彼等は純粋に神に仕えていますが、その純粋さ故に残酷な仕打ちを平気でやってしまいます・・。本当に恐ろしいのは神を愛し過ぎ求めた悪魔よりも、神の名の下に罰を下す天使かも知れませんね。』
・・この目の前に佇む彼も又、そうなのかも知れない・・彼なりの“真実”や“正義”を求めた結果が“キラ”なのだとしたら・・・私を見続ける彼・・私は立ち上がると彼の傍に行き、その細い首に手を掛ける。
『・・？竜崎・・何を・・？』
不安そうに・・しかし、挑む様に見詰めるライト・・互いに眼を逸らさずに見つめ合い、その欲望に身を寄せる時・・その先に在る“何か”を得るのは、私？それとも・・・結末を知る者は未だ居ない。 《完》