(*◎_⊃◎)つ【ruvie's contrivance institute】


□「叶わぬ願い」(さる作)
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『 ……出ろ! 』

高圧的な言葉を掛けながら、今日も監獄の扉が開かれる。
1日の大半を薄暗い監獄で過ごす俺にとっては、その時が唯一の自由になれる時間だった。

オプティマスを捕らえる為に人質として捕まった俺……。
もうどのぐらいの時間が経ったのかすら覚えてはいない。
ここには時間の概念を忘れるくらいの闇と、絶望しかないからだ。

事実……俺もオプティマスに救難信号を出すように要求され、それを断る度に気が狂う程の責め苦を受けた。
何度も……何度も繰り返されるその行為に、身体は激しく軋み心が砕かれそうになる。
けれど俺は救難信号を絶対に出さなかった。

出せるはずが無かった。
出せば彼は絶対に来てしまう……。
オートボットの・・・セイバートロンの希望を失う事等出来るはずがなかった。

『 こいつ・・・こんなにされてまで庇ってやがる。』

『 さぞかしお綺麗なプライム様に可愛がってもらってたんじゃないか?』

床に転がり動けない俺を踏み付けながら、ロックダウンの部下達は下衆な笑みを浮かべながらそう言い放った。

『 ……が……。』

『 ん? 何か言ったか? 』

俺の頭を掴み自分の方へと向かせるそいつに、思い切り唾を吐きかけ笑いながらこう返す。

『 この……ゲス野郎が……そう言う事にしか頭が回らねぇのかよ……犬に……喰われちまえ……。』

話す事も苦痛が伴う……けれど黙って聞き流すなど出来る訳が無かった。
思わぬ俺の反抗にそいつは、掴んだ俺の頭を何度も床に打ち付け最後に腹を蹴り付けた。

『 ―――がっ……!? 』

口から吐き出される熱い液体が床に広がり、その中で身悶えする俺をそいつは思い切り踏み付ける。
霞む視界の先にあるその顔は怒りで歪み、耳には撃鉄を引く音が響いた。
あぁ……これで終わるのか……そう思った瞬間だった―――。

『 何をしている。』

低く唸るようなロックダウンの声に、そいつ等は身体を震わせ頭を低くした。

『 ロックダウン様……。』

今迄の勢いなど何処かへ行ってしまったのか、そいつ等の声は震え明らかに怯えているのが分かる。
けれど何故……?

『 誰がそう言う事をしろと言った……。』

『 は……? 』

『 ……だれがそいつに拷問を加えろと命令した!? 』

薄く開いた視界の先にあるそいつ等の足の動きから、ロックダウンが近付いて来るのが分かった。
その足音は荒ぐ声とは裏腹で、静かさを纏っている。
狩猟者であるロックダウンの、本質そのものだと朦朧とする意識の中恐怖した。

『 ロックダウン様……お許し下さい! 』

その声が響いた瞬間……何かが壊れる音がした。
さっきまで目の前にあった足が宙に浮き、ビクビクと痙攣しているのが映る。
それはロックダウンがそいつ等の1人の首を、鍵爪で串刺した瞬間だった。

『 が……ぁ……!? 』

断末魔の小さな声が他の奴等を威嚇し、その命令に従わせる。

『 そいつは俺の獲物だ……今後俺の許可無く勝手な真似をするな……良いな? 』

『 は……はい! 』

その言葉と共に、動かなくなった残骸を床に投げ落とす。
オプティマスとは違う絶対的な存在……。
それが動けない俺の腕を掴み、肩に担ぎ上げた。

『 ……放…せ……。』

恐怖に抗いながら出す俺の精一杯の反抗を、ロックダウンは気にも止めず歩き始める。
それが悔しくて身を捩れば、担ぐ腕に力を入れ動きを静止した。

『 大人しくしていろ……。』

静かな……それでいて逆らい難い声に、俺は抵抗するのを止めてしまう。
この痛む身体では一矢報いる事も出来ないからと言うのもあったが、その掛けられた声に何故か安堵してしまったからだ。
何故……こんな奴に……何故……。

繰り返される自問自答に、その時は答えなど出なかった―――。
ロックダウンは俺をリペア室に連れて行くと、信じられないほど静かにリペア台へと降ろす。
そして慣れた手付きで傷付いたボディのリペアを始めた。

動けない俺はその様子を見ているしか出来ず、されるがままにリペアを受け入れていた。
静かな……無表情とも言える顔を眺めていると、その視線に気付いたのかロックダウンは俺を見返し動きを止めた。
その見詰め返される眼差しは、何時ものように鋭かったが荒々しさは無かった。

『 ……何でリペアなんかするんだ? 』

その視線が苦しくて、俺はそう問い掛ける。
ロックダウンはその問いに一瞬の沈黙を置き、そしてその視線のままに言葉を返した。

『 ……お前を気に入ったから……と言ったら? 』

驚き目を見開く俺の頬に、ロックダウンの力強い手が触れる。
俺はそれを反射的に振り払った。

『 ふざけるな……! 』

出来る限り強く、睨みつける。
きっと怒り、壊される……そう思っていた。
けれどロックダウンは何の反応も見せず、ゆっくりと立ち上がると静かにその場を後にした。

その背中を声もなく、ただ見送るしかできない俺を置き去りにして―――。
その日から毎日、決まった時間に監獄から出されるようになった。
脱獄防止用の首輪と付けられてはいたが、デッキまでの道程を歩き暫くの自由を与えられた。

何故なのかは分からない……。
自分の部下の勝手な行動を見張る為なのか……俺の信号を仲間に感知させる為なのか……。
ただ一つ……俺自身に起きた変化以外は……。

俺がデッキに出る時間……ロックダウンは狩猟犬達と共に空を眺めている。
俺の姿など気にしないように、時折柔らかい表情を狩猟犬達に向けながら佇んでいた。
何度も繰り返される光景に、何時しか俺はこう思うようになった。

その目を俺に向けて欲しい……。
その表情のままに、あの時の言葉を言って欲しい……。
その手でもう一度抱き締めて欲しい……と。

馬鹿な事だと笑う自分がいる。
どうかしてると思う自分もいる。
願ってはいけない……叶わぬ想いだと笑う。

今日も俺はデッキまでの道を歩いて行く。
満たされぬ想いを隠し、何時か来る別れに怯えながら。
触れてはいけない……叶えてはならない想いと共に、あの目で見詰める空を眺める為に―――。       《完》




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名前: セティです('ω') TFblueサメディーノ、ロククロ(TF実写)B★GSANUBIS血界戦線FGOfateUBW→→→そして腐。(20↑)

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12/29 22:18 貴女友じゃないんです決して許しません。

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