(*◎_⊃◎)つ【ruvie's contrivance institute】


□「触れたい唇」(さる作)
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ここ最近ロックダウンはある事に頭を悩ませている―――。

その頭痛の種は、オプティマスとの交渉の為に捕らえたはずだった。
脱走防止用の首輪も付け、船を地球の遥か上空まで浮かべ監視を続けている。
自分が捉えるべきターゲット以外は、人質として重んじ監視の軽い監獄にも入れている。

日に何時間かの自由な時間も与えてはいるが、それがこんなにも頭を悩ませる結果を及ぼすとは思ってもいなかった。
最初は呆れ返ったり訝しんでいた部下達でさえ、現在はそれが自由に歩き回る時間を心待ちにしているくらいだ。
この悪夢と言われた船内の状況の変化に、普段無表情なロックダウンですら顔を歪めてしまう。

そしてその頭痛の種がうろつきまわる時間が今日もやって来た―――。

『 よぉ! 今日も変わりないか? 』

陽気な声と共に、真っ直ぐ自分の元へと向かって歩いてくる。
時折……自分に聞こえないようになのか、小さく返事をする誰かの声。
それに対し笑いながら返答をする。

そいつが自分が寛ぐ場所へと入り込み、何も躊躇もなく話し掛けてくる。

『 よお! ロックダウン!? 相変わらずの仏頂面だなぁ? 地球を見下ろすのも、いい加減見飽きてるんじゃないか? たまには下に降り立って、俺とドライブと洒落こむなんてのはどうだ? 』

自分が腰掛ける椅子の横から顔を出し、無邪気な笑みを浮かべるクロスヘア……。
それを睨み付けるように見返すロックダウンは、小さく溜息を付きながらこう返事をした。

『 遠慮しておく……貴様のように信用できん奴の言葉など、聞くつもりも全く無い……。だいたい何故唯一の自由な時間、毎日のように俺の所に来るのだ? 貴様には専用の運動場も、デッキへも行ける優遇措置をしているだろうが! 』

普通の者ならばその低く威嚇するような声に、身を強ばらせ視線を逸らし非礼を詫びるだろう。
けれどクロスヘアはその声にも、威嚇するような声にも全く怯まず今度は正面へと歩みを進めた。
その動きをロックダウンはジッと見詰めている。

『 何故って……俺の自由な時間に、俺がいきたい所へ行っても良いんだろ? だったら俺があんたの顔が見たくてここに来るってのは、その許容範囲内じゃないのか? ワンコ共も威嚇しなくなったし、てっきりあんたに受け入れられたと思ったんだがなぁ……。』

威嚇しなくなったのではなく、自分がやってくるクロスヘアに攻撃を仕掛けないように言い聞かせてるからだと顔を顰める。
こんな奴だと分かっていたなら、別な奴を捕らえたのにとさえ思った。

『 ……オートボット側は、敵に対してもそんな風に過ごせと言われてるのか? 』

思わず出たそんな問い掛けに、クロスヘアは何処か嬉しそうに笑いこう答えた。

『 まさか! あのオプティマスやハウンドが、今の俺みたいに話すって本気で思ってるのか? そりゃ……最初はあんたの事、仏頂面の嫌な奴だと思っていたさ……だけど何度か話したり顔を見たりするうちに、ただの仏頂面した仕事熱心な奴だって分かった。このワンコ共に話しかけたりする可愛い所も見ちまったしな?』

椅子の肘掛の部分に腰を降ろし、ニヤリと笑いながらウインクするクロスヘアにロックダウンは呆れた表情を浮かべた。
何処でどう間違えたら、敵にこんなに気安く話掛ける馬鹿になるのかと痛む頭を抱え込む。
そんなロックダウンに、今度はクロスヘアがこんな問いを投げ掛けた。

『 なぁ……あんたこそ何で俺を痛め付けない? ただ捕まえて、うちの大将との交渉に使うだけにしてはかなりの優遇処置じゃないのか? 』

『 痛め付けて欲しいのか? 』

あまりに予想外の問いに思わずそう答えたロックダウンに、クロスヘアは大袈裟に首を振り顔を覗き込んだ。
青い……眼下にある星と同じ色の瞳が、自分を見透かすように近付いてくるのに戸惑いを感じた。

『 痛め付けたいのか……? 』

静かな声が耳に響く……。
言われている言葉に真意が分からず、口を閉じれば更なる聞き慣れない言葉が自分の耳に届いた。

『 なぁ……あんた……本当はもうオプティマスを捕まえるのなんかどうでも良いと思ってるだろ……。』

『 何を馬鹿な事を! 』

思わず声を荒げるロックダウンの膝を、クロスヘアが両腕で押さえ立ち上がれないようにする。
その上ですぐ目の前にまで顔を近づけ、口元に微笑を浮かべながら真っ直ぐな眼差しでこう言い放った。

『 だってそうだろ!? 何時ものあんただったら、俺を直ぐにでも痛め付けて救難信号を出すように指示したはずだ!? 俺が断ったら無理矢理にでも出させるようにしたはずだろ? ……けどあんたはしなかった……何故だ……? 』

何故……と問われ、ロックダウンは答えに詰まってしまう。
そして何故答えに詰まったのかを考えるのを、心の何処かが止めた。
その答えを出してしまったら、不愉快極まりない事になると分かっていたから―――。

『 ……貴様……調子に乗るな……。』

鋭い眼光がクロスヘアを捉える。
けれどその青い輝きは少しも怯まない。

『 そう思うなら俺を壊せよ……その眼差しで射殺されるなら本望だぜ? 』

どこか勝ち誇っているようなその笑みに、ロックダウンは魅せられ答える事が出来ない。
何処で…どうして……こんなにも囚われてしまったのか……。
身動きできなくなるほど、声も出せなくなる程心奪われてしまったのか……。

思わず視線を逸らすロックダウンの唇に、クロスヘアの指が触れる。
そして形をなぞる様に動かすと、戸惑うロックダウンにこう囁いた。

『 なぁ……触れても良いか? 』

されるがままのロックダウンが、悔し気に答える。

『 触れてるではないか……。』

その答えに、クロスヘアは満足そうに微笑みながら言う。

『 ずっと触れたかったんだぜ……? だからもっと感じさせろって事さ……。』

青い瞳が近付き、温かく柔らかいものがロックダウンに触れた。
そこから先はもう……堕ちてゆくだけ―――。       《完》




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名前: セティです('ω') TFblueサメディーノ、ロククロ(TF実写)B★GSANUBIS血界戦線FGOfateUBW→→→そして腐。(20↑)

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12/29 22:18 貴女友じゃないんです決して許しません。

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