<;丶`Д´>紐育 につく 通り 入口以前


□「○◆ L JOY TO THE WORLD ◆○」(さる作)
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“新しい世界を創り上げる”と言うのはどんな妄想に憑かれたらできるのだろうか・・・・?

私は色々な人間と対峙して来た。常に冷静に、知識の限りを尽くし其の者に“人としての裁き”を与えて来た。それは当たり前の世界・・・当たり前の正義・・・真実こそが私の世界であり、現実を突きつける事によって相手に己のして来た事の愚かさを理解させる。これこそが絶対の物であり、覆す事の許されない事実・・・・だった。

彼に・・・“キラ”に出会うまでは・・・・。

彼の思想は私と似ていた。常に弱者の側から力の限りを尽くし、守護の名の下に君臨してきた。“正義”や“悪を許さない”信念・・・この根本は私と同じだった。・・・・だが彼は違う方法でそれを行使した――――。
未知なる力を揮い、“恐怖”故の支配で思う侭に人を操り・・・殺めた。私はそんな彼に“興味”を持った。それは単なる思い付きのような“興味”だった。毎日が単純で退屈な日常・・・それを彩る様に繰り返される犯罪や事件。まるでパズルを解く様に、ゲームの中の一コマを紐解く様に私は世界に存在していた。
存在しているだけで“生きていなかった”・・・・いや・・・・正確には参加していなかったのだ。毎日に・・・・日常に・・・・流れ行く水面を見詰め、異質な漂流物を見付け排除する番人でしかなかったのだ。私はそれに気付いていながらも、気付かぬ振りをしていた。そんな事に気付いても意味が無いからだった。
そんな事に気付いた所で何も変わらないし、何の意味も持たないと知っていたからだ。そもそも私の存在意義が“思考”する事ならば、それも“当たり前”と思ったからだった。
けれど・・・・・手掛かりを求め、新しい“敵”を求め、行き着いた先に“貴方”が居た―――。子供の様に純粋に、無邪気な行動と思考・・・何よりも強い意志と眼差しが私の全てを魅了した。

『 竜崎 』

貴方が私を呼ぶ・・・・偽りの名前で・・・・

『 L 』

貴方が私を呼ぶ・・・・禁忌の名前で・・・・

危険な程に魅惑的で、死神の名に相応しい思考で、互いに許さぬ知識の戦いに溺れ心地良ささえ感じる。“正義”の名の下に正反対の立場からお互いを罠にかける。
最高の戦い、最高の“敵”・・・愛情さえ感じる程の偽り・・・・犯罪に対する嫌悪感さえも凌駕する“貴方”と言う存在が、私を世界の“番人”から世界に生きている“人”へと堕とさせる・・・。
何と言う堕落、何と言う屈辱、何と言う快楽・・・・!?

これは許されざる罪、裁かれるべき罪。浄化されるべきはどちらの存在なのか――――!!

『 竜崎 』

貴方の声が、眼差しが、言葉が、唇が、そのしなやかな指さえも罠ならば何と言う甘美で危険な罠なのか・・・。
私は負けない――――負けてはならない。“貴方”を手に入れ、支配し“新しい世界”と言う夢から目覚めさせる為に・・・。
“貴方”が見詰めて良いのは私だけ・・・・その内なる炎が宿る熱い眼差しが映して良いのは私だけ・・・・例え身体が朽ち果て様と、その心に喰らい付き放しはしない。私と言う存在は“貴方”と言う存在と対なる者。水面に映る影、鏡の中に自分自身、想う事は同じでもその背に背負う物は光と闇――――。
“貴方”が死せる時、その心を支配し眼差しを受けるのは私だけ。

その時こそ・・・永遠に“貴方”を手に入れる至高の瞬間。永遠に終わる事の無い乾いた世界で、永遠の“貴方”が私を求め互いが許される瞬間。       《完》

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