<;丶`Д´>紐育 につく 通り 入口以前


□「ALIVE」(さる作)
1ページ/2ページ

暗い街の中行く当ても無く彷徨い歩く・・・。顔見知りなんていない、いる訳も無い・・・だが不思議と寂しくも悲しくも無い。あるのは純然たる怒り、憎しみ、戸惑い・・・・ワイミーズに居た頃には余り感じる事も無かった感情に心を支配される。如何してこうなったのか・・・考えてみれば簡単で、簡単過ぎてかえって考えもしなかった理由だった。

――――“L”LOST――――

その上で出されたロジャーの選んだ次代の“L”・・・・それは僕と二アの2人だった・・・。
その予想外の結論を僕は反発し、二アは受け入れた。
“どうだろう。2人で力を合わせ・・・”この言葉はその時の僕には“2人で1人前”にしか聞こえなかった。“半人前”と言われて悔しい気持ちになった。馬鹿な話さ・・・二アはそんな言葉を一度も発してはいないのに、二アに負け続けてた悔しさが僕の心を猜疑心で満たし眼を曇らせた。

“僕は1人でやる!”

そう言い残して、部屋を飛び出しマットの部屋まで駆けて行く。驚いて道をあける子供達・・・何時も輝いて見えた廊下は白く発光し、僕が進むべき道をその輝きの中に覆い隠す。

『―――・・・メロ・・・どうかしたのか?』

勢い良く開けられ、飛び込んで来た僕を見たマットはポツリとそう囁いた。然程驚いた様子の無いマット・・・その目の前に置かれた小型のモバイルから伸びる白い線は、マットの付けているヘッドホンへと繋がっている・・・それを見た僕はマットの顔を見た。悪びれた風も無く、ただ静かに僕を見つめるマット・・・・その眼は悲しみに染まっていた。僕はその悲しみを理解した・・・僕達とは違う目標を失ったマットの悲しみと悔しさが分かったからだ。

『・・・・マット・・・・僕は此処を出て行く。僕は、僕のやり方で“キラ”を追い詰める為だ。そんな事此処でも出来るとお前は言うかも知れない・・・だけど・・・此処じゃ駄目なんだ・・・・此処じゃ僕の欲しい物も、僕自身を見付ける事も出来ないんだ・・・。此処じゃない僕だけの場所で、あいつを・・・二アを負かす強さが欲しいんだ。だから此処を出て行く・・・僕が此処を出て行った後、もしもお前が迷ったらお前も僕の後を追って来い!お前に新しい“何か”を与えてやる!?』

『・・・・相変わらず自信満々なんだな・・・・―――あぁ、良いぜ!もしも俺が迷ったら俺はメロの所に真っ先に向かう。だからメロもどうしても何かに頼りたくなったら・・・・俺を呼びな。必ず助けてやるよ。』

悲しみが消え去り、代わりに緋く燃える感情がマットの眼を輝かせ始めた。僕はそれを見詰め、そして笑った。

『バーカ!僕に勝てないのに、そんな風に大きな口を叩くなよ。』

『ちぇ、折角思い切って愛の告白したのに“バカ”の一言で終わらせられちゃったよ・・・そりゃ今直ぐは無理かも知れないけど、俺達には未だ時間はある・・・成長し・・・“戦う為に必要な物を手に入れる”時間は未だこれからさ・・・。頭じゃ敵わなくても、体術や銃の扱いは俺の方が上だぜ?もっと・・・もっと勉強して、“あの人”に教えて貰ったそれ以上の事を必ず会得してみせる・・・・・必ずだ。』

・・・・僕達は互いの言葉に苦笑し、拳と拳を軽くぶつけ合った。それはお互いの誓い、互いに果たすべき道を貫き通す為の誓い。 (*▼、▼)⊃⊂∬*`∀´*∬ ←まだ傷無しw

『何時行くんだ?』

マットがほんの少しだけ寂しそうに呟く・・・。

『今夜・・・皆が寝静まった頃・・・』

その寂しさに答える様に、小さく囁き手を握る僕・・・。大丈夫、僕は負けない・・・・そう伝える為に・・・・。

『・・・じゃあ準備しなきゃな。俺はセキュリティシステムに手を加えておくよ・・・。何時も抜け出す時に使うルートを囮にして、裏をかく方法を使った方がロジャーも直ぐに見付けられないだろ?』

笑いながら悪戯を仕掛ける子供の様な顔をしながらマットがそう言った。その表情は何時もの・・・何処か人を小馬鹿にしたようなマットの顔だった。

『・・・あぁ、任せた。じゃぁ・・・僕は準備を整えてくる。』

僕もまたその笑顔に答える為に、何時もの様な表情を作り顔を見合わせた。そして夫々に準備を整える為に分かれた。先程とは違う静かに開かれるドアは、先の見る事の出来ない未来へと続く黒き扉・・・ゆっくりと閉ざされる音は僕達の少年としての日々が、その瞬間に終わるを告げる鐘の音の様に聞こえた―――。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ