<;丶`Д´>紐育 につく 通り 入口以前


□「◇ WHEEL OF FORTUNE ◇」(さる作)
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夏の日の夕暮れ・・・ゆっくりと落ちてゆく太陽。
皆で遊んでいた筈の広場には何時の間にか自分しかいなくて・・・大きく伸びる自分の影だけが目の前に存在している。
何時こうなったのか・・・・何時こうしてしまったのか分からないけど何故か心は平穏だった―――。
遠くで耳鳴りの様に響くカナカナと言う声が“何時生き返るのかな?”と言う自分の冷えた心に生まれた望みの様にも聞こえる。
だがそれは稚戯如くあえなく消え去り・・・私は声を出して泣く事も忘れ、目の前に転がる“僅かに生きていた痕跡を残す物”を見下ろしている。

――――これは誰だった?――――

――――ここには何人いた?――――

――――私は何を如何したかった?――――

私は―――私を嫌う物を排除したかった。
私はこの村が嫌いだった。
私はオヤシロ様に―――!?

≪ケイチャン、ミオン、シオン・・・○○!イッタイドウシテ・・・!?≫

考え込む私の背後から聞き覚えのある声が聞こえて来る。
遠く―――近く―――私はゆっくりと振り返る。
そこにある物・・・驚きに見開かれた眼、震える身体、悲しげな表情・・・。

≪○○チャン・・・ドウシタノ?≫

たぶん自分の口から出た音が、自分とは違う意識の中で耳に届く時・・・・また・・・囁きが聞こえて来る・・・・。

≪コイツモキケンダ コイツモコロシニキタ ダッテワタシハ―――!?≫

次の瞬間・・・それは驚きと恐怖その顔に浮かべ、何かを叫ぶ事もできずに空と同じ茜色に染まり大地へと落ちて行く・・・あの夕日と同じ様に――――。
気が付けば何時の間にか薄闇が辺りを包み、落ちた者達の姿さえ飲み込んでゆくのに・・・・私の茜色に染まったこの両の腕は隠してはくれない。
カナカナと言う声も遠く去り、私の心はようやく平穏を手に入れた。       《完》

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