<;丶`Д´>紐育 につく 通り 入口以前


□「泪《RUI》」(さる作)
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誰かが言った―――

《目は口程に物を言う》

・・・そう想う事は多々あるが、今この瞬間・・・貴方を見詰めているまなざしが私の心を伝えているのなら、こんなに悲しい事は無い――――。

『竜崎、僕の顔に何か付いているのか?』

見詰められる気まずさからなのか、貴方は何時もそう私に問い掛けてくる。

『いいえ、あまりにも真剣に考え込んでいる様でしたので・・・。』

『“キラ”として何か思考を巡らせているのだろうか・・・そう思ったんだろ?』

苛立った様な言い方と視線に、心の遥か奥の方でチリリと痛みが走る。

『良く分かりましたね。まぁ・・・それだけでは無いのですが・・・で、何を考えていたんですか?』

私はそんな痛みを無視するかの様に、話を続けようとした。続けなければいけなかった。続かなければ貴方を見詰めていられなくなるから、貴方と言う存在を恐れ愛おしむ為に見詰め続けたいから話を続けた。
貴方はそんな私の事を如何思うのかも考えず、貴方と言う存在が私の中で日を追う毎に大きくなって行くのを感じていた。

美しく“キラ”と言う秩序に守られた世界―――誰もが裁きを恐れ“キラ”と言う力に憧れ従う。
悪は“キラ”の審議の元“キラ”の力により排除される―――言葉や懺悔を許されずに。
私はそんな世界を美しいとは思わなかった。有無を言わせない絶対的な独裁者・・・それが“キラ”だと思っていた。
己の理想を叶える為に命を弄ぶ卑劣な悪・・・その一番近い人間が貴方だった。

『ライト君、この資料を夜神さんに渡しておいて下さい。明日の会議で使う物です。』

『あぁ、分かったよ。預かる。』

伏せ目がちに視線を落とし、私から受け取る貴方・・・それが癖なのか、それとも違う理由なのか・・・普段ならば気にもしない事が私を束縛する。そして貴方が私の顔を余り見ないのは、如何してなのかと何時も考えてしまう。
望んでいる答えに縋り付き、泪が出そうになる自分を笑う。

これが私か―――!?
口に出せば終わる言葉を出せずに、心の片隅に置き続けるのは何故だ!?
永遠に縛り付けて、何処かに閉じ込めれば―――そんな考えばかりが浮かぶ。

貴方の一挙一動に心身を奪われ、貴方となら堕ちても良いとさえ――――!!

許せない・・・子供じみた理想の世界を望み、命を弄ぶ貴方を!
許してはいけない・・・貴方が捜査の目を掻い潜りおこした罪を!?
許してしまう事は私の命の終わりを告げる事・・・貴方が永遠に孤独に堕ちる事!!

『・・・・竜崎!言いたい事があるならハッキリ言えよ!?』

突然・・貴方の声が大きくなる。
私を睨み付け、まるで恋する娘の様に頬を昂揚させて・・・・

『あぁ・・・すみません。考え事をしていたので・・・特に用はありませんので、気にしないで下さい。』

『人の顔を凝視したまま考え事だって?・・・・止めてくれよ。やられてる方は意味も無く緊張するだろ?』

呆れた様に溜息を付きながら、貴方は私を視界から・・全てから離して行く・・・・まるで拗ねているかの様な貴方の声が、仕草が、行動が私の秩序を乱して行く――――!?

心が揺れる―――乱れる―――流される―――!?

『あ・・・・そうなんですか・・気を付けます。』

残された理性で抑える―――蓋をする―――押し込める!!

『あ、そうなんですかって・・・ハァ・・・まったく・・竜崎らしいよ。』

・・・不意に無邪気な笑顔を向けられ、それが嬉しくて言葉に詰まる。それを悟られたくなくて、無言で視線を外しPCのキーボードをゆっくりと叩き始める・・。
貴方は何も言わず、微笑みを浮かべたまま同じ様にキーボードを叩き始めた。

私の目に浮かぶ泪・・・・それが恋なのだと知ったのは、貴方と私の最後が始まる日だった――――。       《完》

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