<;丶`Д´>紐育 につく 通り 入口以前
□「累《RUI》」(さる作)
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黒い黒い大きなタママの瞳が今日も我輩を見詰める。
尊敬とも憧れとも取れる熱い眼差し・・・我輩はそのまっすぐで揺るぎの無い瞳に翻弄される。
『軍曹さん。』
タママの鼻にかかった甘える様な声・・・。
『軍曹さん?』
少し不安そうな声・・・・。
『軍曹さん!!』
怒った時の何時もと違う声・・・どれも同じ、どれも我輩を心から呼ぶ声。
『・・・何でありますか?タママ二等?』
ナンデアリマスカ タママニトウ
自分の声なのに機械の様に感じるのは、きっと自分自身が嫌いなせい。
我輩の中の闇は深く深く・・・・何処までも堕ちて行く這い上がる事が難しい漆黒の闇・・・。僅かに残る光が我輩を正気に保っていてくれる。
手は血に汚れ、心は濁り思考は止まる・・・・戦い続け手に入れた安住の地でも、我輩の真の闇は暗く冷えたままだった―――。
息もするのが苦しいほどの葛藤の中、瞑りかけた目を開け前を見る。
そこには我輩を心配する仲間達の顔が存在していた―――。
ギロロ・・・おせっかいな泣き虫人情家・・・何時も文句を言いながらも我輩を助けてくれる親友。
ドロロ・・・優しい優しい風の様な柔らかい人・・・何も言わなくても我輩を理解してくれる恋人。
クルル・・・変わり者の天邪鬼・・・我輩と似てるけど、我輩よりは救われてる・・理解してくれる悪友。
そして・・・・タママ・・・・・同じように黒を身に纏いながらもその色はあくまでも優しく、まるで人々が安らぎを得る為に降りる夜の帳の様に輝いている。
真実を知らないからこそ我輩を見詰め、愛し、求めてくれる心の宿木・・・。穢したいと望み、穢したくないと想う可愛い人。
ねぇ・・・タママ?もしも我輩が狂気に陥っても、タママは我輩の傍にいてくれる?
・・・・そんなずるい考えを口にできる訳も無く、今日もタママの求める答えから外れる言葉を紡ぎ出す。
『タママ二等は本当に頼れる部下でありますなぁ〜〜。』
一瞬・・・悲しそうな表情を浮かべ、すぐに笑顔でタママはこう答える。
『えっへへ〜〜、褒められちゃったですぅ〜〜。軍曹さん、僕・・軍曹さんの為なら何でも頑張れるですぅ。』
ありがとう・・・・そしてごめんね。タママを愛せなくてごめんね。
でも、狂気を胸に秘めている我輩はタママじゃ無理だから・・・。これを受け止められるのは、あの二人だけだから。
治せるのはあいつだけだから・・・。
今日もタママが我輩を見詰める。
優しい安らぎの黒い瞳が星を纏いながら、永遠の笑顔を向けてくれる。
タママ・・・違う意味で、違う所から君を尊敬し守るよ。
それが我輩に出来るタママへの愛だから―――。 《完》