<;丶`Д´>紐育 につく 通り 入口以前


□「類《RUI》」(さる作・完結)
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雲一つ無い月の綺麗な夜・・・パトロールを終えた俺は一人屋根の上に佇む。
柔らかな風が吹き、少し肌寒い空気が肌に気持ちが良い・・・人々が眠りに付き、僅かに灯る街明かりだけが眼に写っている。
『・・・皆寝ている様だな。』

何時もならばケロロ辺りが未だ起きていて、ご苦労様〜と笑顔で言って来るのだが今日はそれも無い。大方ガンプラ作りが佳境に入っているのだろう・・・それを想像して、思わず口元に笑みが浮かぶ・・・。

『たまには・・こをな静かな日も良いな。』

月の光が妙に綺麗で、その柔らかな黄色が奴の体色のを思わせた。
本人の性格や言葉遣いとは裏腹の、柔らかな黄色が俺は好きだった。
冷たい身体とは裏腹の熱い想いが好きだった。

月に魅入りながら思い出す、お前との出会いから現在迄の事が人の言う“幸福”なんだろうか・・・?
戦いに明け暮れ“赤い悪魔”と呼ばれた俺に、こんなにも穏やかで甘い想いに浸る日が来る等誰が想像出来ただろう?
照れ臭い様な・・・罪悪感の様な複雑な気持ちを抱く俺を、お前はきっと笑い嫌味な口調で言うだろう。

『そんな事気にしてる訳〜〜?クク、そんな物生きてる奴だけの特権なんだぜぇ?楽しまないと損するぜ、センパイ。』

その姿を想像して・・・苦笑いが浮かぶ。だってきっとお前は最後には淡く笑うから・・・―――。
俺の頬に触れ愛しさを前面に、心配そうな顔で柔らかく言葉を放つお前・・・。柄にも無いそんな想いに浸る俺を、お前は笑うだろうか・・・?
ふと・・・掌に月の光を受け止める。
その手をゆっくりと翳して行き、指先も腕も・・・身体中がお前の色に染まっているのを感じる。

『クルル・・・・・――てる。』

小さく・・葉擦れの様な声で囁いてみる。

『センパイ?何してるんだい?』

背後から聞こえて来たお前の声に、思わず心臓が跳ね上がった。

『・・――!?』

クルル・・と言ったつもりだったが、言葉にはならず虚しく唇が動いただけだった。

『センパイ?どした?』

不思議そうに首を傾げるお前の顔を見る度に、体温が上がって行くのを感じる。
聞かれただろうか?こんな風に両手を掲げ佇む俺を、お前はどう思うだろうか?
みるみる赤くなる俺を見たお前が、一瞬不思議そうにし・・・そして柔らかく微笑んだ・・・。

『センパイ・・・お帰り。』

そう言ってお前はその手を差し出す・・・俺は戸惑いながらも、その手をとる為にお前に近付いて行く―――。
指先で軽く触れるお前の手は冷たくて、俺の上がり過ぎた体温に心地良い。

『・・あぁ・・いま戻った・・・。』

それだけ言って押し黙る俺を、お前は微笑みながら抱き締め・・・囁いた。

『・・・・月灯りが綺麗だな。センパイ・・・踊ろうぜぇ?』

『は?』

思わず出たすっ頓狂な声の俺の耳元で、再びお前が囁いた。

『俺も・・・――てるぜ。さぁ・・・センパイ・・・。』

・・・クルル・・・と小さく呟き、導かれるままに身体をリズムに乗せる。
淡い告白は熱い想いに飲み込まれる。

ぎこちなく・・・それでも刻まれるステップ・・・。
例え様も無いこの幸福感に思わず涙が零れそうになる。

《 RUI 》

地球の一つの言葉にある沢山の意味と音・・・
そしてその中にある一つの真実
それがお前の中にある真実と同じならば、俺はその真実の為に戦う

お前の心にある《 涙 》を現在の俺と同じ幸福の《 RUI 》にする為に―――。       《完》

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