<;丶`Д´>紐育 につく 通り 入口以前


□「★ζ;・_・ξ ≫ Sunshine After Monsoon ≪ (´ε`*)☆」(さる作)
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『如何して絵を描いたんですか?』

日本でのキラ事件が解決し、ニアが報告と今後の事について戻ったと聞きあたしも後を追う様に戻った時の事。久し振りに出会ったニアの綺麗な唇から出たのは、そんな怒りと憤りに充ちた言葉だった―――。

《久し振りね。》

そう言う筈の私は、何故か言葉を忘れたかの様に押し黙ってしまう・・・・。
だって何を言っても、ニアの心にはもう届かないと理解出来たから・・・・。

こんな・・・・イギリスには珍しい晴天の、心地良い昼下がりなのに私は寒さで凍えそうになっている。
そんな黙ったままの私にニアは苛付いている様で、普段はあまり変える事の無い表情を曇らせた。

『・・・・・・もう一度聞きます。何故、私達の似顔絵を描いたのですか?』

暗い・・・・暗い色のニアの眼が、何故か紅く燃えている様に見えるのは私が犯した罪のせいなのだと突然理解する――――。

『ニア・・・あたしは・・・・』

悪気は無かったのだと云い掛けて、本当にそうだったのかと誰かが耳元で囁くのを感じた。

依頼されたのはニアとメロの似顔絵・・・正確に言うならば、依頼されたのではなく“教えて欲しい”と言われただけ・・・・。
本当は教える必要すら無い程、差し迫られてもいなかった。

再び言葉を詰まらせたあたしに、ニアは軽蔑の眼差しを向け始める・・・・。
恐らく彼は解っているのだ――――。
ただ―――否定でも何でも良いから、あたし自身の言葉が聞きたかっただけなのだ。

潔くでも醜態を晒すでも何でも良い、あたしからメロがこの世を去る原因になったと言う言葉が聞きたかったのだ。

ニアはそう言う人――――冷静で言葉少なく優しい・・・そして激しい感情を内に秘めた人。

メロは正反対に情熱的で行動的、そして感情に支配されやすい本当は繊細な人。

共に行動していたマットは、そう言うメロの全部を理解し守ろうとする人。

3人ともあたしの大切なお友達・・・。
あたしの宝物で、ずっと手に入れておきたかった人達・・・・。

でも大人になるにつれ、あたしは置いて行かれた。
身長も成績も何もかも、彼等につりあっていられたのは本当に僅かの間―――。

Lの後継者として生きるニアと、ニアを追いかけて生きたメロ・・・・そのメロを守ろうと生きたマット・・・・。

『――――もう良いです。さようならリンダ・・・・二度とお目にかかる事はないでしょうね。』

『・・・・・うん・・・・でも忘れないでしょ?』

呆れた様にそう言い放つニアに、あたしはそう返した。
それは呆れるほど素直に―――そして冷静な声で言った。

あたしがそう言った事で、一度離れ掛けたニアに視線が再びあたしに注がれる。
その彼の顔は何処か悲しげにも、また怒りにも見える顔だった―――。

その顔を見た時・・・・あたしは自分が何とも言えない気持ちになるのを感じた。
優越感とも達成感とも幸福感とも言える、何とも奇妙で奇怪で最高のエクスタシー・・・。

ふと・・・室内に飾られている鏡に眼を移すと、あたしは微笑んでいた。
今迄に見た事の無い―――見せた事等無い最高の笑顔を口元に浮かべているあたし・・・。

何時か見たモナリザの様な・・・そんな感じさえさせる。
その笑顔を自分で見た時に、あたしは本当に自覚した。

あたしがワザと彼等を危険に晒した事を―――。
総ては彼等の中に、あたしと言う人間を永久に遺す為に――――。

ルールを破り、仲間を売った。
そしてたった1人だけだけど、あたしを永久の存在にする事が出来た。

何て言う幸せ、何て言う幸運。
誰にも理解されないだろうけど――――。

ニアはそんなあたしに背中を向け、部屋のドアを開ける・・・。その背中にあたしは最後の問い掛けをした。

『ねぇ、ニア・・・・何故死神はあたしの所に来なかったのだと思う?』

微かにニアの肩が揺れた。
けれどニアは振り向きもせず、こう答えると部屋を出て行った。

『・・・・貴女には必要が無いと思ったんでしょう・・・。』

暖かい陽射しが差す室内に取り残され、手に入れた思い通りの結末に心は満たされている。
・・・・・けれど私の身は冬の嵐の中で凍えている様で、その幸福の熱を感じる事は出来ない。

女なら誰でも願う永遠の存在―――。
その幸福感が凍える様な物だと言うならば、これがきっとそうなのだとあたしは自分を抱き締める。

『・・・きっと・・・また会えるわ・・・きっと・・・会いに来る・・・・。』

冷たい肌とは裏腹の温かい気持ちに満たされながら、あたしはワイミーズを後にした。       《完》

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