<;丶`Д´>紐育 につく 通り 入口以前


□「┣╋ ☆ ☆ ☆ 〓 triple star ╋┫」(さる作)
1ページ/1ページ

『クルル! そっちに行ったぞ!?』

『あいよ! 任せな!?』

何十もの敵に囲まれながらも、ただ一発の反撃も受けないセンパイが俺にそう叫ぶ。
俺の目の前には撃ち仕損じた3機の敵兵・・・。空中から手負いの猪並みの勢いで、地上で指示する俺を仕留め様と迫り来る。
けれどその程度の勢いと根性じゃあ、この俺様は仕留められないぜぇ・・・自慢じゃねえが宇宙一の嫌な奴だからな・・・。

『くっそぉぉぉ・・・せめて貴様だけでもぉぉぉ!?』

お決まりの負け台詞を吐きながら、敵兵の手が俺の懐まで数センチの所に迫り来る。
一瞬・・・空を舞うセンパイの心配そうな顔が目の端に映るが、俺はそれに声ではなくにやりと笑う事で応えてやる。

――――大丈夫・・・心配すんな――――

『・・・・甘ぇよ・・・ククク〜〜〜。』

その言葉に反応し驚きの表情を浮かべる敵兵に、俺は思い切り電撃を浴びせてやった。

『ぐ・・・・あぁぁぁぁぁぁ!!』

悔しげな悲鳴と共にこんがりとローストされた敵兵は、その言葉と勢いとは裏腹にあっけなく地に墜ちる。そんな戦場では良くある光景・・・遠くには未だ爆炎が上がり、何かが焼ける匂いが鼻腔の中を通り抜ける。


『クルル! 大丈夫か!?』

そんな退廃的な光景の中・・・天使の様に羽を広げ舞い降りるセンパイは、生命力に溢れ熱を発している様に感じる。
きっと誰よりも、何よりも鮮やかな体色のせいだろう。
命の輝き・・・生命を生み出す太陽の色・・・だからこそ惹かれた。

『あぁ・・・大丈夫だぜぇ。そう言うあんたこそ・・・って聞くだけ野暮か・・・?』

『・・・? あぁ!? 怪我は無い。この辺はさっきの奴等で終わりだ・・・次の目的地に向かうぞ。』

俺の言葉に一瞬戸惑いを見せたが、直ぐに理解し微笑みながらそう応えるセンパイ。任務に真面目過ぎるのがたまに傷だが、そんな所も憎めないんだよな。
ニヤニヤしながら黙ってそんな事を考える俺に、センパイは物凄く訝しげな顔をし一応答えを待っている様だった。だが何時まで経っても応えない俺に苛立ったのか、すぐさま何時もの様な怒号を俺に浴びせ始めた。

『・・・・・・・何なんだ貴様は! 何故黙っている!? 何か言いたい事があるならハッキリ言わんか!!』

別に何か言いたかった訳でもなく、ただ見惚れていただけなんだけどな・・・・ま、言った所で信じる訳無ぇし?

『別にぃ?・・・何か言って欲しい訳?』

『はぁ!?』

『いや、やけに絡んでくるし・・・“ご無事で良かったですわぁ〜〜ギロロ伍長〜〜。”とか言えば満足すんのかぁい?』

クネクネと身をくねらせながらからかう様にそう言う俺に、センパイは一瞬間を置いてから顔を真っ赤にし怒り始めた。

『・・・・・な!・・・・んな訳あるかぁ!? 貴様俺をからかっているのかぁぁぁ!!』

『うんにゃ・・・大真面目・・・・だったら如何する〜〜〜?』

『なにぃぃぃぃ〜〜〜!?』

・・・・あぁ・・・・面白ぇし可愛いなぁ・・・。今迄色んなタイプの奴に会ったけど、こんなにも感情豊かで色んな顔を見せてくれる奴なんていなかったなぁ・・・・。
いたのは人の顔色を伺って、少しでも楽や得しようと考える奴ばっかりだった―――。
ガキの時からそんなんばっかり見てれば、ひねくれもするって言うもんだぜ・・・。
まぁ・・・俺もそう言う奴等の思惑に乗った振りして、かなり小ずるい事もしてきたがね・・・・。
恋もしている振りしてみたが、直ぐに飽きちまった。
男にしろ女にしろ俺ではなく、俺の功績や将来性に恋しているのがみえみえだったせいもある。

―――上辺だけの笑顔、上辺だけの言葉、上辺だけの心・・・・どんな小奇麗な奴でも、気持ちはついていかなかった―――。

『聞いとるのか!クルル!?』

『んぁ?』

センパイの顔を見ながら想いに耽っていた俺は、センパイからの急な問い掛けにそんな間抜けな声で答えた。
するとセンパイの頭上からブチッ!と言う音が聞こえ、次の瞬間に俺は沢山の星々に囲まれる事となる・・・・。

『・・・・まったく・・・・そんな事では、この先の戦場では生き残れんぞ。』

ブツブツと小言の様な一言を呟き、痛みに悶え苦しむ俺を覗き見るセンパイ。
俺はその顔を見返しながら、やはり想いにふける。

飽きれた様に微笑みながら、躊躇い無く差し出すその手・・・俺はその手を取りゆっくりと立ち上がる。
言葉は無く互いの視線だけで想いを伝え合う。

『・・・・行くぞ。』

不敵に微笑みながらそう言うセンパイ。

『あいよ・・・次で最後・・・・ド派手に行こうぜぇ〜〜。』

その微笑に応え、ニヤリと笑う俺。
その先の言葉は要らない。
繋いだ手の温もりと、輝き始めた星々が生命を感じさせる。
あんたがいる限り、俺はもう迷わない。
あんたは俺の・・・・極上の導き星。
運命のtriple star☆☆☆!?       《完》

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ