kira事件、特別捜査本部・二千五◯一号室


□「Passing Summer」(さる作)
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   私の夢、私の事を助けてくれる人に出会う事。
  私の望み、その人を手に入れ共に生きてゆく事。


暗い部屋に一人で居るのは嫌い。寂しさが増していくから・・だから、眠る時も少しでも明かりを点けておいて音楽も鳴らしておくの・・誰かが居てくれる様な感覚がして少し安心するから・・。モデルを始めてからは忙しさとその世界で生きて行く事の大変さが寂しさを和らげてくれて、楽になれた様な気がした。でも、私を守ってくれる人には出会えなかった・・殺されそうになった時に本の少しだけ“お父さんとお母さんに会えるかな”と思ったけど、すぐにお姉ちゃんの事を思い出した。同じ思いを隠し何時も笑っていてくれて安心感を与えようと頑張ってくれているお姉ちゃん。私の為に生きてくれているお姉ちゃんに以上に悲しい思いをさせて逝けない。必死に説得しようとしたけれど、追い詰められて刺されそうになったのにイキナリ彼の方が呻き声を上げながら息絶えて行った・・怖くて、泣きながら逃げた。もう、誰であれ目の前で人が死ぬのは見たくなかった・・・。その日の夜は、次の日撮影が有るにも関わらず眠れなかった。夜通し友達やお姉ちゃんに電話し、気を紛らわした・・次の日の撮影はボロボロでその仕事のメインは別な子にとられてしまい、何もかもが嫌になった。何でも良いから楽しい事がしたいと思っていた時、私はレムに出会った・・・喫茶店で一人お茶を飲んでいた時、いつの間にか黒いノートがテーブルに置いてあるのに気がついた私は、何気なくそれを手に取った。すると、今まで誰も居なかった筈の場所に突然黒い影が現れた・・それは異形の者で、頭上から私を見下ろしている。驚きのあまり声が出す事も、動く事も出来なかった。怖いのに目をそらす事が出来なくて、泣き出しそうになった時怪物と目が合った・・・その目は何故かとても懐かしい色をしていた。何処かで見た・・と思い探る様に覗き込むけれど何も思い出す事は出来なかった。しかし、この者に対しての恐怖は薄らいでいた。取り合えず辺りを見回しても誰一人騒いでる人が居ない事から私一人だけに見えている存在だという事が分かった。ここで、話し掛けると自分が独り言を言っている形になるし、この店に取り付いている物かも知れないので取り合えず店を出る事にした。急いで支度しているとそれが話し掛けてきた。

「・・そのノートを持って出ろ・・」

驚いて振り向くと、その者がさっきの黒いノートを指差していた・・私は一瞬迷ったが、そのノートを手に取り持っていたバックに押し込んだ。会計を済ませ店を出るとそれも付いて来た・・最初のうちは違和感と“何故?”が頭の中をグルグルと目まぐるしく走り回っていたが、その内に“取り合えず家に帰ってこいつの要望を聞こう、で、成仏してもらおう”と考える様になった。茜色に染まる空の中いつもの道をいつもの様に歩いて帰る。・・淋しさに泣き出したくなる気持ちが溢れそうでいつも下を向いていたのに、今日は何故か淋しくないのはこの横に居る者のせい?・・何と無くそう思った。そう言えば誰かと並んで歩くなんて本当に久しぶりだ、例え人外の者だとしても淋しさを和らげてくれるのは嬉しいと思うのは少し変かな・・?程なくして家に着いた。開けても誰も居ない暗い眠るだけの部屋・・いつもは暗い洞窟に松明無しで入る様な感覚がするこの部屋に今日は招き入れる者がいるのは少しくすぐったい。コレが人ならばもっと嬉しいのだろうけれど・・・。
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