京都市左京区吉田新町一の□□□の一の一千◯一十二


□「東京 - 神の御座に - 」(さる作)
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神の居わす処、そこが私の役割を果たすべき選ばれた地・・・この世界の人々が罪を犯す瞬間、其の御手の一振りで天使が裁きの剣を振りかざす。其の街は世界の人々が集まる場所・・恐らくは東京・・そこは神に魅かれるかの様に、色々な地から人々の集う場所。巡礼者が集まる其の街は今日も喧騒に包まれている。一見平和そうに見えるこの光景の影に、我々の憎むべき犯罪者達が蠢いているのだ。それはさながら美しい熱帯魚のきらびやかな鱗の下に住む寄生虫の如く静かに・・・だが確実に蝕み続けて行く。神が私を見初め、選んだ事を悔やまれる事の無い粛正を行い続ける私・・・それを誇りに感じながらも、この耳に残る神の声に淫らな思いを抱くのも事実だ・・。
物静かな話し方の若い男性の声・・淡々と話す時も、指示を下された時も総てを見透かし私の進むべき道を教えて下さった神の姿を毎夜夢に描く・・・声の出し方や話し方から想像する貴方は、美しい熱帯魚の様に優雅に・・そして神に相応しく誇り高く凛々しくして居られるのだろう。イエス・キリストの様な野粗な姿では無く、例えるなら智天使の様に気高く・・其の溢れる知性で世界を見据えているのだろう。

『神よ・・・貴方の其の御手で私に触れて下さい・・・哀れな使いに貴方の情を与えて下さい。』

うわ言の様に言い続け、淫らな行為を繰り返す私すら見透かしているのだろうか・・?まるで狂恋に身を焼く娘の様に、貴方を求め貴方に縋り貴方の姿を追い求める私を笑うだろうか・・・?

『貴方の御姿を拝見したい・・触れたい・・其の御足に口付け・・忠誠を誓い・・命すら捧げた・・い。』

だから如何か裏切らないで下さい。母の様に私を突き放さないで下さい。誇り高く羽ばたく鷹の様に孤高の存在でいて下さい。貴方が居る・・それだけで私は強くなれる。考え総てが正しいのだと信じられる。何時か貴方に許されて、貴方の姿を前にする時・・・私は如何するのだろう・・汚れ無き其の姿に涙するのだろうか?
私は夢に見る・・貴方に会える日の事を。
私は望む・・世界にはびこる悪が一掃される事を。

私は描く・・貴方の理想の世界に貴方と共に立つ事を。

『あぁ・・神・・よ・・淫らな行・・為で貴・・方を・・・汚す私・・を許し・・たま・・・え・・っ!?』

眼を閉じれば見える・・・貴方が其の腕を開き、私の総てを受け入れ永遠の存在として下さる姿が・・・神々しく輝く貴方に認められ、あの女よりも近しい者として傍に居る私が・・・一日でも早く其の日が来る様・・今日も私は悪の名を綴いて行く。総ては貴方の為だけに・・・。     《完》

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