京都市左京区吉田新町一の□□□の一の一千◯一十二


□「THE FINAL COUNTDOWN」(さる作)
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『・・・・そうだ・・僕が“キラ”だ・・。』

追い詰められ、そう自白する夜神月・・今、私に向かいそう告白するのは・・彼にとってどれだけの屈辱なのだろうか・・・自らを“神”とし、愚者を従えたこの男はどんな懺悔を私にするのだろうか・・・どんな懺悔であろうと私の許しを得る事等・・・有りはしないだろう・・メロを・・“L”を・・失った私のこの怒りと絶望をお前に知らしめるまで・・消して懺悔を聞き入れる事は無いだろう・・・そう思っていた・・思っていたのに・・・・――――――――。


憎い・・・・・この男が憎い・・・・・神に従う愚者を見捨て、己の保身に興じるこの男が“L”を・・メロを・・・私の全てを奪ったのか・・・!?

こんなにも言い訳がましい・・・己を“神の自身”とまで言っていた男の結末が何故こんなにも無で・・・子供じみているのか・・・!?

お前が何を言おうと机上の空論にしか過ぎない・・己の犯した罪の重さも・・・生きてきた人生の軌跡すら捨て去り、生き残ろうとする魂の何と貪欲な事か・・・。

今此処に“L”が居たならどんなに嘆く事だろうか・・メロが居たならどんなに悪態を付くだろうか・・・背負うべき罪の重さに恐れ戦くこの男を・・・哀れな生き物を“神”と呼び、自分から其の手を汚した者を・・・愛した女を想う事無く意味を持たない言葉を吐き続ける男は本当に“キラ”なのか・・・?

もしも今・・この場にお前と私二人きりであったならどんなに許しを請うと、お前の四肢を拘束し其の身体に二度と消えぬ屈辱を塗りつけてやるのに・・・!?其の白い肌に消えぬ傷跡を残し、罪の赤い華を咲かせ、唇に祈りを・・眼には絶望の涙で湛えさせたのに・・・父ですら道具であったかの様に言うお前は、永遠の許されざる者なのだから・・・。

あぁ・・・・私の中の怒りが諦めに変わり、そして殺意へと変わって行く・・・。隠し持っていたノートに私の名を書き道連れを試みたお前が憎い・・・“L”を・・・・私のメロを・・・返せ・・・!!撃たれた痛みから悪態を付くお前を見ていると心が凍てついて行くのを感じる・・・。

高潔であって欲しかった。潔くあって欲しかった。最後まで“神の代理人・・・神の化身・・キラ”であって欲しかった。追い詰められても誇りを忘れずにいてくれたなら・・・・・“あの二人が梃子摺った相手”として私も対等に扱い、私の権限において己の行く末を決めさせ様と考えていたのに・・・全て消えた。海に浮かぶ小枝の様に・・・川を流れ行く木の葉の様に・・・残されるのは空虚な想いだけ・・・・。

床を這いずり回り、亡き者の名を呼んでまで何かに縋るお前をもう見たくは無い・・・・私は、そっと呟いた。


『・・・・いっその事、自分の死神だった者の手で眠らせてやれば良いのに・・・・』


誰にも聞こえてない筈だった。聞こえる筈は無かった。けれど私の傍に佇んでいた死神は、永き時を過ごして来た男の呼び掛けに“ノートに名を書く”と言う答えを返した・・・・。縋りつき・・もがき苦しみ・・そして絶命した夜神月だった身体・・・死神は確かに言った。“お前に憑いてると次に行けない”と・・・“中々楽しめた”と・・・・・・そして、皆が亡骸を見ている中・・微かに振り向き・・しかし確かに私を見た・・・!?

私は・・・全ての処理を終えた後、死神のノートを燃やした。少し残念そうにしながらも“まぁ、いいや”と去って行く死神はやはり楽しそうで何れは来る結末を楽しみにしている様だった・・・。私は失敗しない・・・夜神月の様になりはしない・・・私は全てを受け容れる・・・・・私が正義で在り続ける為に・・・倫理と心理とを秤に掛けながら正しい裁決をし続けてみせる・・――――――!?



『ククク・・・・やっぱり人間て面白っ・・・』           《完》

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