京都市左京区吉田新町一の□□□の一の一千◯一十二


□「Bad Communication」(さる作)
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竜崎といる時、時々思考の混沌に陥る事がある。僕・・夜神月が正しいのか、“L”としての竜崎が正しいのか・・“キラ”としての僕ならあいつが間違っていて、神に逆らう不心得者として裁きに掛けると答えるだろう。しかし・・月として答えるのならば・・?それだけは答えが出ない。いや、出したくないのだ。

『 ライト君 』

そう呼ばれ、肌を寄せ合う事を喜びに感じる僕があいつを失う事から逃げている。掛け替えの無い存在になっているあいつが憎くて・・・愛しい。

『 竜崎・・』

唇を重ねる・・舌を絡め求め合う・・息を奪い合い、全てを貪る様に口付けを交わし続ける・・。次第に荒くなる吐息に重なる様に、高まる心が・・身体が・・火の様に燃え上がって行くのを感じる。

『・・あ・・・・は・・ぁ・・りゅ・う・・』

『ライト君・・・好きですよ・・』

奴の手が僕の身体を弄り、舌の冷たい感触が僕を翻弄する・・次第に理性は遠ざかり、欲望だけが僕達を包み始める・・・そんな時・・竜崎が囁く・・。

『・・・私は・・貴方が・・・・でも好きですよ・・・』

僕の中で何かが叫ぶ・・・この男は危険だと・・・竜崎・・お前はずるいよ・・。こんな時に・・そんな言葉で・・それとも僕が其の言葉で何か答えるとでも・・・?熱く滾って行く身体とは裏腹に、冷えて行く心が新たなる欲望に包まれて行く・・あぁ・・・何て心地良いんだろう・・・・・・。

『す・・きだ・・・あ、んん・・・・竜ざ・・き・・』

『“エル”・・・ですよ・・ライト君・・・』

・・・意味深な言い方で竜崎が囁く・・耳を軽く齧り・・舐める・・髪を撫で上げ、首筋を啜る。身体が過剰なまでに反応する・・背中越しに感じる体温と・・・

『 !?・・・うあぁ・・・あ・』

揺さぶられる・・・心も・・身体も・・命さえも・・手に入れて直、求める物は・・・本当の事に蓋をして・・夜が明けるまで求め合って・・奪い合って・・其の唇を・・身体を・・心を・・命さえも・・僕の物にして・・・・・!?

『・・・!?・・ラ・・イト・・!!』

呼ばないで・・・奪われる・・・全てを・・・・触れないで・・弱くなる・・揺らいでしまう・・。狂って行く・・・お前に・・・・この凶器の様な恋は・・僕達の行く先を見せているのに・・・止まらない・・止められない。

『・・・ライト君・・ずっと傍に居ますよ・・・。』

僕はお前に答える。

『あぁ・・・竜崎・・魂に成り果てても・・・君から離れない・・。』

そして僕は狂って行く・・・・―――。               《完》

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