京都市左京区吉田新町一の□□□の一の一千◯一十二


□「Liar!Liar!」(さる作)
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俺はあいつが・・二アが大嫌いだ!?

・・・あいつは何時も何時も俺を見ている。
朝から晩まで、気が付くと奴が俺の事を見詰めている。
其れまで楽しい気持ちで遊んでいたり、勉強に集中していたりしても其の眼を見るだけで全部霧散する・・・。
俺がどんなに努力しても勝てないと悔しがっているのを楽しげに見詰めている時もあった。
他の奴等は気のせいだと・・気にし過ぎだと言うけれど、俺には分かる。
最初のうちは俺も気にしなかったさ・・・でも、一度気になり始めたらもう駄目だった。
食事の時も、講習を受けている時も・・夜眠る時も・・あいつは俺を見詰める。
俺は、あの“L”と同じ光を持つ奴の暗い瞳に捕まってしまった・・。
何時も気が付くと見詰められている苦痛・・其れと不安感・・何が言いたいのかと問い詰めた事もあったが、奴は話を逸らすばかりでまともに答えた事が無い。
こんなにも答えを欲しがり、求める俺を見詰めるだけで何も言ってはくれない・・・本当に嫌な奴だ!?嘘吐きめ!!
何人かの仲間達が言う・・“二アはメロの事、好きなんじゃないの?”・・そうかも知れない・・自惚れかも知れない・・だからこそ、俺はお前の口から真実を聞きたいと・・願っているのに・・。
でも、俺も嘘吐きだ・・そう口々に言う皆に“冗談は止めろよ、気味が悪い!馬鹿にしてるだけさ!?”と言い放つ。
認めたくない気持ちと認めて楽になりたい気持ちが交差する・・。だから、俺はワザと二アを見ない様に・・意識しない様にした。
マットやリンダと一緒に過ごした。マットの気持ちを知っていて・・・其れを利用した。廻りが誤解する位、マットと長い時間過ごしたけれど、あいつは・・二アは何も言わなかった。
何時もと変わらぬあの眼で、ただただ俺を見詰め続けるだけだった・・・悔しかった。
そんな時だった・・二アと協力する様にロジャーから言われた時、俺は反発しあいつから離れて一人でやって行くと宣言してやった・・。
俺は二アに“俺”と言う存在を認めさせ、欲する様に・・追いかけて来るようにと願い奴から離れて行った。
でも・・出て行く日の朝になっても二アは何も言わなかった・・言ってはくれなかった。
何時もの様に見詰めているだけだった・・少し違った所があるとするならば、何時もより離れた所から・・少し寂しそうにしていたかも知れない。
皆に見送られワイミーズから出た時、一度だけ振り返ってハウスを見た。
あいつは・・窓から俺を見送っていた・・・へそ曲がりめ・・俺は必ず俺の世界を掴み、お前の前に立ちはだかってやる!
お前に“貴方と共に”と言わせて見せる、俺らしく生き抜いてやる!?だから其れまでさよならだ・・。
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