京都市左京区吉田新町一の□□□の一の一千◯一十二


□「Shake Down」(さる作)
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小さい頃から聞かされて、聞き飽きた言葉・・繰り返されるパパとママの言葉。

『タママ、危ない事は止めなさい。』

『タママ、私達がやってあげるから・・』

『タママは、良い子。』

僕を好きに生きさせてくれそうで、縛り付ける両親が大嫌いだった。その癖嫌われたく無くて・・本心を隠して答える癖がついた。

『ハイですぅ。』

『僕、頑張るですぅ。』

嘘つきな僕も大嫌いだった・・学校の訓練でさえ煩い位心配する両親に、教官達も困り顔だった。

『・・あの・・タママ君。君のご両親何とかならないかなぁ・・・今日も見学されてるんだよ。』

『すいませんですぅ・・・』

何度怒っても何度言っても中々止めて貰えなくて、僕は次第に癇癪を起こす様になった。

『・・・うらぁぁぁ!?学校には来るなって言ってるですぅぅ!?いい加減にしやがれですぅぅぅ!!』

癇癪起こす度に離れて行く友達、悲しそうな両親の顔。それに益々苛つく自分・・・早く大人になりたかった。ある日・・健康診断で引っかかった僕は、両親と一緒に総合病院に詳しい結果を聞きに行く様に言われた。仕方無く両親と一緒に病院へと向かう・・其処ではお菓子の食べ過ぎと、成長について話をされた。

『タママ君の場合、精神的ストレスが原因で成長ホルモンが正常に機能していない可能性が出ています。本人の自覚と自立・・ストレスの排除も必要ですが、ご両親の子離れも必要かと・・・』

先生の言葉に猛反発する両親・・・僕は傍で聞いているのに・・・

『この子は私達の宝なんです。』

そんなの知ってる・・・でも、僕は貴方達じゃない・・。

『この子はのんびり屋さんなんです。直ぐに大きくならなくても良いじゃないですか!?』

良くない!?もう直ぐ卒業なのに・・・!!僕は切れた。

『いい加減にしやがれですぅぅぅ!!もう、構わないでくれですぅぅ!?』

そう言って、タママ・インパクトを出してしまった。しまったと思ったけど、もう止められない!?驚くパパの声とママの悲鳴・・ついでに先生の悲鳴も・・・。

『・・・キンキン・ケロン波ぁぁぁ!?』

何処からか聞こえて来た声と、飛んで来た衝撃波が僕のタママ・インパクトを退けた。窓ガラスを割り絡みながら飛んで行く二つの衝撃波・・・呆けている先生と両親を他所に、声の主を探すがボロボロの廊下に居たのはスキップをしながら去って行く緑の影だけだった。歌う様に言葉を残して行く。

『ケッケロ〜・・だみだよぉ〜仲良くしなきゃぁ〜』

・・・・何だったんだろう・・?その後僕は先生と両親に謝った。あんなに素直に謝れたのは初めてだったが、しつこくするのは良くないと学習もして貰えた様で両親はその日を境に少し静かになった。僕は僕でそんな事はもうどうでも良くなって、次の日から、声の主を探し始めた。あんなに煩わしかった両親がほんの少し黙るだけで尻尾が小さくなったのも嬉しかったが、それ以上にあの衝撃波が僕を魅了して離さない事が新鮮で・・・夢中になった。心から会いたいと願った。数日が過ぎても見つからなかったが、前の様に癇癪は起こさない様になっていた・・・いや、回数が減ったの方が正しいと思う・・。溜息交じりの毎日に、以前の友達が心配そうに戻って来る。

『・・タママ・・?如何した・・具合でも悪いのか?』

恐る恐るだけど話し掛けて貰えた・・嬉しかった。あの事以来、良い事が続いている。会いたい気持ちが募る。まるで恋しているかの様に、夜も眠れない。そんなある日、友達が調べて来てくれた事を教えてくれた。

『タママ・・あの日お前が見た、それらしい人物が分かったぞ!?』

『エ!? だだだ・・誰ですぅ!!?』

『お前が聞いた“キンキン・・”とか言うのを使うのは“ケロロ”って人らしいぞ。』

『ほほ・・本当ですかぁ!?』

『あぁ、それでな・・その人、地球侵略部隊の指揮を執る事が決定してるらしいぜ。』

心が躍った。会えるかも知れない・・・そう思うだけで何でも出来る気がした。僕は情報部に勤めるママの弟にお願いした。

『地球侵略部隊って僕でも入れますかぁ?何でも良いから情報・・・寄越せですぅぅぅ!?』

僕の熱意が届いたのか、弟さんは親切にも調べて来てくれた。成績は十分満たしている・・推薦・・も何とかなりそうだ・・・後は、面接・・。一抹の不安が有ったが僕は応募した。面接会場は沢山の人でごった返していた。皆僕よりも立派な体格をして佇んでいた。尻尾のあるのは僕だけだった・・クスクス笑う奴も居たけど、挨拶を交わして静かにさせた。新兵の枠はたった一人・・・失敗は許されない・・・
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