∬`∀<´∬ 紐育 につく 通り 出口以前


□「■□COLOR HAS A CAUSE■□」(さる作)
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■□COLOR HAS A CAUSE■□ 7.BROWN ⇒ adoration / 魅上照



私の世界に色は無かった

色とりどりのネオン
鮮やかな世界
着飾った人々

そんな世界に存在しているにも係わらず
私の目が映すのは茶と白の世界
人も物もビルも
何もかもがその色で構成されていた

動物の様にモノトーンで統一されていないのは
私の人としての浅ましさからだろう
壊れたTVのように
濃淡で表される世界に住んだのは何時からか・・・

母に自分を否定されたから?
友人の裏切りにあったから?
悪を許せないと感じた頃から?

小さな時は世界の色を感じていた
写真を見れば紅葉の世界に佇む自分がいる
白銀に佇む自分、海原の青を背に写る自分・・・・

切り取った時間の色は鮮やかで
現在、見ている世界はセピアの様な色
それが私、それが全てだった
『キラ』に出会うまで

ある日を境に世界が色を持ち始めた
その色は瞬く間に広がり世界を駆け抜けた
絶対的な黄金の様な輝き
それが『キラ』だった

気高く悪を許さない絶対的な存在の『キラ』
私の思う者全てを削除してくれた『キラ』
私が認めた絶対的な者『キラ』

私はその瞬間に理解した
この私に与えられた茶色の・・・セピアの世界は『キラ』の為
『キラ』の出会うまで、様々な色に惑わされない為の意味ある物

『キラ』を崇拝し敬愛し求める私は、事有る毎に姿を公の場に出した
何時か・・・あの方の眼に留まる事を夢見ながら・・・・
あの方と共に悪の存在が無い、理想郷を夢見ながら・・・・
私は待ち続けた

そんなある日
私に奇跡が起きた
夢に見た事が現実となった
私は『キラ・神』に選ばれたのだ

その瞬間から私の世界に色が戻った
全てが色鮮やかに染まる世界
だが、もう惑わされる事は無かった
『神』と共にあるから―――!?

『神』の望むままに生き
『神』の望むままに削除し
『神』の望むままに従う
何と言う至福、何と言う恍惚感

此の侭でいれば私は幸福だったろう
此の侭でいれば理想郷は築けただろう

だが・・・何処かで私は間違えた
何処かで運命の歯車が狂ってしまった
崇拝し過ぎた事で、全てが狂ってしまったのか・・・?

最後の時、出会った『神』は美しかった
理想通りの容姿・・絶対的な言葉を出す声が私に付き付けた

『僕はそんな奴は知らない』

これ程の絶望があるだろうか
これ程の悲しみがあるだろうか

世界が色を失い再びセピアに染まった時
私も『神』に言葉を発した

『あんたなんか神じゃない』

理解して欲しかった
振り向いて欲しかった
共に死ねと言って欲しかった

だが・・・・『神』は決して言わなかった
一人で天に帰ってしまった
私を置き去りにして
私に絶望を突き付けたままで―――

セピアの世界が静かに続いている
茶の濃淡が私の世界の全て
それは私がこの身体を手放すまで無限に続く
もう音も無い世界
陽の光すら色を失う狂気へと続く道                 《完》

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