∬`∀<´∬ 紐育 につく 通り 出口以前


□「A HAPPY NEW YEAR!! 《 デスノ Version 》」(さる作)
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『A HAPPY NEW YEAR〜〜!』

松田さんの浮かれまくった雄叫びと共に、如何言う訳か全員集まった捜査チームとの合同パーティーが始まった。
そこにはこれまた何故かメロとマットの姿もある・・・・・。恐らくLがワタリさんに命じて探し出し、強制的に連行されてきたのだろう。その証拠にメロの顔は、字で書いてあるかのように一目で分かる程不機嫌だ。
その横では抵抗するのも諦めて(←最初からしていないかも知れないが・・・)、グラス片手に浮かれるマットの姿があった。

『かんぱ〜〜い!・・・・おいメロ、楽しんでるか?』

『・・・・・楽しんでいるように見えるのか・・・・?』

壁際の椅子にどっかり座り、乱暴に足を組むメロはマットを見据えながらそう問い掛けた。けれどそのマットは不機嫌なのは何時もの事と大して気に留めていないようだった。

『全っ然、見えない・・・・・けど、そうやって拗ねてたって仕方ないだろ〜〜?Lの命令に逆らうなんて無理だしね。』

そう言いながらマットはグラスの中身を一気に飲み干した。その意見には私も賛成だなと思いつつも、遠くの乱痴気騒ぎには参加する気にはなれなかった。
私も強制参加組みではあるが、あれこれと世話を焼いてくれるジェバンニやレスターがいるので幸いな事にあまり退屈はしていない。

『・・・その強制番長は何処にいんだよ・・・!?』

『ん?・・・・さぁ?』

ミサさんが持ってきたお代わりのグラスを受け取りながら、何も気にしてない風のマットがあっさりとそう答える。その答えにメロの頭に#マークが浮かんだような気がした。
・・・・そうなのだ。実は私達捜査チームに休みと楽しみをと言う事でこのパーティーを開いた主催は、実はこの催しには参加していないのだ。理由は明白・・・・やはり同じ様に不参加者が居て、それが夜神 月とくれば誰しも簡単に想像がつくだろう。

要するにLは夜神 月とのラブラブなクリスマスデートを、誰にも邪魔されずにする為の段取りをしていたのだ。まぁ・・・連れて行かれた夜神 月も強制的連行なのかも知れないが・・・・。
兎も角Lの思惑通りに事は運び、結果現在に到るのだ。楽しんでる面々は良いとしても、強制参加させられた方はうんざりしていると言うのが本音だ。
私は人間観察含め、それなりの楽しみ方をしている。玩具もケーキもあるし、同じ様に私の世話を焼くジェバンニ達もLのチームの人間との談笑も出来る。けれど・・・そう言う訳でもないメロには、ここはどうも不快な場所でしか無い様だ。
相方が能天気なマットならなおさらだ。彼は楽しみ方を知っているが、メロは意外にくそ真面目で自分をどの位置におけばいいのか分からないで居る。その事が腹立たしいのだ、多分。

『なっんで俺が呼び出した本人が不在のパーティーで、面白おかしく過ごさなくちゃならないんだよ!? くだらねぇ、俺は帰る!!』

『ん〜〜〜それは無理じゃねぇ?』

臨界点に達したメロがそう言いながら立ち上がると、すかさずマットがその腰を折る。・・・・相変わらず漫才コンビのようだなと私は感心した。

『何でだ!?』

マットの言葉に苛々を募らせたメロが噛み付く。するとマットは入り口の方を親指で示しながら更に言葉を続けた。

『見てみなよ・・・あの黒服・・・あれ、多分ワタリの部下じゃねぇ?』

驚き目をやるメロは、入り口に左右対称に立ち並ぶ黒服を見詰めた。一見すればただのドアマンのようだが、その体格はかなりがっしりしている。大袈裟に言えば強面SPでしょうか?如何にメロが強くても、所詮は線の細い青年・・・・強行突破は無理でしょう。

『なんっであんなのがここに配置されてんだよ!? だいたいあの親父に部下なんて居たのか!!』

おぉ・・・・メロにしては着眼点が良い。が、その疑問にもマットはあっさり答えてしまった。

『だってLとワタリの仕事って、捜査もそうだけどメインは後続者の育成だろ?一応、俺も次代のワタリ候補だったんだし?居ても良いんじゃねぇの?』

返って来た言葉にメロは絶句し、悔しそうに歯軋りをする。そしてジタバタと頭をかきむしり、2〜3度地団駄すると諦めたのかドサリと椅子になだれ込んだ。
電池の切れた玩具でも見るように、マットが恐る恐る覗き込むとジロリと睨み返す。

『諦めたか・・・?少しなんか飲んで、気分を落ち着かせろよ。もう少ししたら奴等も油断するかも知れないし、そうしたら2人で抜け出そうぜ?』

『・・・・・・・そうなれば良いけどな。』

『まぁまぁ・・・・んじゃ、そこに居ろよ?』

そう言いながら飲み物を取りに行き、そのまま巻き込まれるマットを見てメロは深い溜息をついた。何と無く気になり、メロの近くへと私は歩み始める。

『メロ、どうしたんですか?疲れたんですか?』

私の声にメロの視線がこちらに向けられる。ついでに驚いた顔と怒号のオマケ付きだ。

『!? おま・・・・・椅子に乗ったまま移動してくんじゃねぇぇ!?おい、ジェバンニとか言うの、お前もわざわざキャスター付きの椅子なんて用意すんじゃねえよ!?しかも言われるままに押してくんな!!』

『おぉ、痛いところを・・・・しかしそれだけ元気があれば大丈夫ですね。ジェバンニ、マットは当分帰って来れないようなので代わりに何か飲み物をお願いします。』

『はい。』

軽く会釈しその場を立ち去るジェバンニは、慣れた様子で酔っ払った松田さんを避け飲み物のある場所まで辿り着いた。
その様子を2人で眺めながら、何と無く言葉を交わしてみる。

『今日は災難でしたね。』

『あぁ、全くだ!飯を喰ってたら突然拉致られるは、強制参加のパーティーに居るにも係わらず主催のLはいないわ・・・・新年早々ついてねぇよ・・・。』

私はハハハと軽く笑って見せた。そしてこんな他愛ない話をするのは何年ぶりだろうかと考える。そんな時、急にメロが驚いた顔でこう言って来た。それは少々不愉快な言葉だった。

『・・・・お前も笑うんだな。スゲェびっくりした。』

『・・・・一応感情の起伏くらいは持ち合わせてますから・・・。』

ムッとしてそう答える私に、メロが破顔一笑しながら付け加える。

『わりぃわりぃ・・・・そりゃそうだ。しかし良いもん見たわ。この先一生見られるか見られないかの笑顔だ。これを見に来たと思えば、今日の災難も苦にならねぇな。』

・・・・・・・どうしてこの人は、人が恥ずかしくなるような台詞をポロッと言うんですかね・・・・。そう思いながら無言になる私を、勝ち誇ったように見詰めるメロ。
何と無くそれが悔しかった私は、最近ハルから聞いた新年の挨拶をメロに実行しようと決めた。

『メロ、ちょっと良いですか?』

未だにクックッと笑うメロが顔を上げ私の方へと向き直る時を狙う。

『あぁ?何だよ・・・・っ!?』

振り返ったメロは、私の顔が自分の近くにある事に気付き驚いた。そこへすかさず私が挨拶をする。

『 A HAPPY NEW YEAR 』

そしてそのまま彼の頬にキスをした。
メロの頬は柔らかく、何故かチョコレートの香りがした。

『〜〜〜〜〜;@%$&ё・・・・・ななななな何しやがる!?』

『別に・・・・新年の挨拶ですよ?ハルが言っていたんです。新年にはこうやって、隣の人とキスをするんだと。』

『馬鹿、そりゃ、カウントダウンの時の・・・・つうか・・・・あぎゃ――――!?』

顔をサンタの衣装よりも赤くしてのた打ち回るメロを、皆は不可思議な生き物でも見るかのように眺めていた。
その様子を私はほくそ笑んで見詰める。

まだまだ私を優越感で見る事は許しませんよ。そう・・・・まだ当分は・・・・ね。       《完》

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