∬`∀<´∬ 紐育 につく 通り 出口以前


□「∞COLOR HAS A CAUSE∞」(さる作)
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∞COLOR HAS A CAUSE∞ 12.YELLOW ⇒ solitude / 966



誰も俺の中には入れない―――

永い間そう考えて生きて来た
誰も彼もが興味で俺に近付いて来ては離れて行った
余りにも違いすぎる頭脳に嫌味を添えればそれも当たり前の事だった

誰も彼もが俺を利用しようとする
誰も彼もが俺の言葉に翻弄される
誰も彼もが嫌な言葉を残し去って行く

俺は母の温もりも父の背中も知らない
母らしき者は俺を嫌悪し、父らしき者は俺をモルモットとして扱った
俺は皆とは違うただ独りの異質な者

その肌は限り無く月色で
その眼は限り無く緋くて
その頭脳は限り無く父似て・・

俺の中の孤独は誰にも癒せない
俺の生死は国が決める
俺の気持ちは俺だけの物なのに

機械だけが俺を恐れず
機械だけが俺を受け入れる
こいつらの前では偽らないでいられる

温かさもまなざしもいらない・・・
青白い光だけが俺を包み込み
生きている実感を与えてくれる

有りとあらゆる武器を造った
何に使われるか考えもせずに
自分の価値を認めさせる為だけに―――

ある時鮮やかな赤と出会った
そのまなざしの強さと存在に魅かれた
初めて自分から触れてみたいと考えた

喧嘩ばかりしていた
アンタの反応が楽しかった
それが恋だと知らなかった

同じ任務の中でアンタに魅かれて行き
アンタを手に入れたいと想った
アンタに俺を知って欲しかった

黄色の身体を抱き締めながら
拒絶される事の恐怖に怯えた
まるで小さな子供の様に

アンタが俺の事を知った時
大きな目を更に大きく見開いて
・・・・そして優しく微笑んだ

お前はお前だと言ってくれた
お前の全てを知りたいと言ってくれた
悲しみも喜びも全て―――

俺はアンタを手に入れた
そのまなざしも身体も心も
喜びと同時に更なる孤独が俺に生まれた

俺は異質な存在
俺はアンタといたい
でも俺の身体は―――!

温まる身体
癒される心
求め合う喜び

高まる欲望
閉じ込めたい衝動
溶け合えない孤独

ねぇ、アンタをどうしたら良い?
ねぇ、アンタを奪っても良い
ねぇ、アンタを閉じ込めて良い?

俺を見詰める目も触れる指先も何もかも
誰にも見せないで俺だけの物にして
アンタと俺だけの空間の中、全てを奪い尽くして―――!

『クルル』
アンタが俺の名を呼ぶ
そうされる度に消え去る考え

大切にしたいのに
守りたいのに
包みたいのに

アンタに甘えてる俺がいる
アンタを求める俺がいる
アンタがいないと全てが闇に墜ちて行く

永遠の孤独と同じ永遠の想いが俺を生かしてくれる

何時か全ての孤独が消えた時
アンタが全てを知った時
俺は初めて知るのだろう

愛も孤独も人から与えられる事の真実を
皆が同じ様に孤独の中で生きていた事を
それ故に愛しいと想う温かさと意味を                《完》

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