∬`∀<´∬ 紐育 につく 通り 出口以前


□「風になりたぃ 〓☆ Samba,Novo ☆〓」(さる作)
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『ケロロく――ん、待ってよぉ〜〜。』

小さい時からの僕の口癖を思い出し、現在も少しも変わっていない自分に気付く
少し照れくさくて、少し情けない
でも、そんな僕を何時もからかうケロロ君の笑顔も小さい時から変わらない

『何だよ、ドロロ。遅いぞぉ!』

そう言いながらも君は何時も待っていてくれた
手を差し伸べ、導いてくれた
変わらない笑顔で、現在も

何処か意地悪で、おっちょこちょいで・・・寂しがりな君
僕とギロロ君が話している姿を見て、何処か遠い目をしていた君
心の中にどんな風が吹いているの?

寂しい風?冷たい風?乾いた風?
君の笑顔が曇る程の何かが、君の中で渦を巻いている
僕はそれを取り除きたいと願う

母星は戦いの星
それが生まれた所
命を終える所

此処は美しい星
静かな星
侵略すべき星

でも・・・でもねケロロ君?
此処に来てからの君はとても楽しそうだった
何時も笑っていた

だから僕も笑う
幸せに感じる
きっとギロロ君も

過去は消せない、消える訳じゃない
僕達の心の中にある秘密が無くなる訳じゃない
だけど此処では忘れられる

手を伸ばす、君が居る
声をかける、君が答える
笑う幸せが胸を熱くする

平和な星に住む優しい人との記憶が、君を変えてくれたのなら僕はそれを守りたい
風が吹く、緑がゆれる、光が揺れる
君が空を見上げる、何かを見据える

僕も空を見る、流れる雲を見る
光を感じる、故郷と違うこの空に
君の隣に座る、触れる手の温かさに泣きたくなる

侵略者として格好悪くても
この星に居られる事に・・・
生まれてきた事に感謝する瞬間

許される時間は後どれ位なのか分からないけれど
出来るだけ長く・・・長く続けば良いと願う
君が幸せなこの時間

君は僕と言う船を運ぶ風
僕は君と言う存在を守る風
温かく・・優しく包みたい

この星を・・・君を包む大きく優しい風に僕はなりたい                 《完》

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