∬`∀<´∬ 紐育 につく 通り 出口以前


□「■□COLOR HAS A CAUSE■□」(さる作)
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■□COLOR HAS A CAUSE■□ 6.NAVY ⇒ protection / Stephen Loud



私には守るべき者がいる

過去、私には 守るべき者は無かった
日々の仕事が私の全てであり、他に感じる物も無かった
言われた侭に仕事をこなし、友人達と過ごし家に帰る・・・

時折人恋しさに女と付き合う物の上手く行く訳も無く
お互いのすれ違いからいつの間にか別れていたりした
・・・誰かを真剣に愛したり、守ってみたい・・・
何時しかそんな想いを抱く様になった

そんな時、私はある女と出会った――
長い黒髪の彼女は、優秀な捜査官だった
クールで・・・でも何処か情熱的な女だった
私は必然の様に彼女に魅かれた
しかし彼女は既に人のもので、私が入り込む余地は無かった
それでも私は足元に紺の影の様に彼女を守ろうと想っていた

ある日――彼女はいなくなった
婚約者と共に遠く離れた国に行き、2度と帰らぬ人となった
“キラ”
―――此の名を持つ者の手に落ちたのだと分かった時、私の中の何かが壊れた―――

自分の力の無さを嘆き、呪った私は必ず復讐をする事を誓った
しかし誰もが恐怖から手を引き“キラ”に従い始めた
仕方が無かった
誰でも命は惜しいと感じる力だったから―――

しかし只1人 、憶する事無く挑む人間がいた
“L”
世界に誇る頭脳を持つ探偵
かつては彼女も従った者

私は彼に選ばれるべく努力をした
どんな事も、どんな任務も完璧にやり遂げてみせた
全ては復讐の為に―――

しかし彼も闇の手に墜ち、私の世界も閉ざされた
胸に灯った炎だけが残される
全てが憎かった・・・堪らなく憎かった
私は待たなくてはならなかった

再び巡り来るチャンスを待ち続けるしかなかった
そして歳月は流れ――私は運命に出会った

『命をかけて“キラ”を捕らえる事を望む者』

要請はその一言
誰でも、どんな者も怯む一言
しかし私には待ち侘びた一言

私は志願し、返事を待った
其の間はホンの僅かな時間の様でも、永劫に続くとも思える時間だった
そして私は許された・・・

彼に出会う日
私の胸の中には復讐しかなかった
其れだけが生きる証だったから

――――彼はとても幼かった
未だ何処かにあどけなさが残る顔に戸惑いを感じた
しかし、其れは私の愚かさを表していた

彼は素晴らしい頭脳を持っていた
彼は完璧な洞察力を持っていた
彼は私以上に復讐に燃えていた―――

選ばれた者達に的確な指示を与え
言葉巧みにキーワードを解く姿が“L”に名を継ぐに相応しいと誰もが考えた
だが・・・・私は彼の中の孤独を感じてしまった

もがく様に求める様に謎を解き
孤独を埋める為に手探りな推理を続ける彼は何を失ったのだろうか?
そんな事を考える様になった

愛しい人を葬った“キラ”
憎悪の全てが“キラ”に相応しい装飾
捕らえるべき存在

其れに変わりは無いのに私は何を迷う?

私は見付けてしまった
私は感じてしまった
私は選んでしまった

私の全てを彼に捧げよう
私の持てる全てを彼の為に使おう
私の命すら捧げて守り抜こう

この腕の中にすっぽりと納まってしまう小さな命
天使の外見に悪魔の頭脳
出る言葉とは裏腹な孤独の魂

私は貴方を守護する者
私は貴方の紺色の影
共に生きて行こうと願う

貴方の存在は私が守る――――          《完》

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