∬`∀<´∬ 紐育 につく 通り 出口以前


□「○〓● cogito,ergo,sum ○〓●」(さる作)
1ページ/1ページ

私と言う人間は“思考する”と言う事で構成されている・・・。
何時も・・・何時の時も・・・どんな状態であろうとも、私は思考し続ける事を止めない・・・止められないのだ・・・・。
しかし、それが故に必要とされ私と言う人間が存在する事を認めて貰えるのであるならば・・・・強ちそれも悪い物では無い。
事実、私が“思考”する事によって事件が解決してゆく様を何度もこの目で見てきた。
そしてその度に賞賛される喜び・・・達成感・・・新たなる事件への欲望・・・・・そして孤独・・・・。
年月を重ね年を一つとる度に、大きい事件に関わる様になって行く。
書面に書かれた犯人像、被害者の現状、背後関係や行動パターン等・・・・・
同じ様に見える人間と言う生き物は、“思考”が僅かに違うだけでこんなにも大きく人生が変化する物なのだと感じた。
愚かで浅はかで、しかし心に“何か”を持ちその“何か”に従い行動をする・・・。
それは憎むべき犯罪であり、裁かれるべき罪なのに私はその行動に魅かれて止まない。

何故、そうするのか
何故、そうしなければいけないのか
何故、後悔すると理解しているのにやるのか

理由など様々で、その数は私が解決して来た事件の数よりも多い。
交差しあう感情や、憤り、欲望、渇望、尽きる事の無い心の空腹感に人は踊らされて行く・・・・。

私にはそれが無い・・・・。私には唯一絶対の“思考する”事だけ・・・・。

悔しい訳でも羨ましい訳でも無い。ただ・・・・最後に感じる孤独感は、私にはそれが無いからだろうかと思うようになった。
それはさながら砂漠のオアシスに唯一人佇み、遠くの街を眺めている旅人の様で・・・・。

癒されるべき渇きなのに、満たされている筈の渇きなのに・・・・
そんな“思考”に捕らわれた時、私はワタリに寄りかかる。
ホンの少しだけ・・・頭を軽く触れさせワタリと言う存在と、温かさを感じ心を落ち着かせる。
ワタリは何も言わない、何も言葉をかけない・・・唯・・・黙って傍に居てくれる。
そんな時、何時も思い出す光景がある。

綺麗な丘の上・・・大きな木の下で優しい風に吹かれながら本を読む・・・・
周りには何も無く、見上げた空はとても綺麗で・・・・安心できる存在が唯一つあるだけでこんなにも心穏やかな気持ちになれるならば
私はこの世界を守る唯一つの存在になりたいと心から願った――――!?

迷ってはいけない、惑わされてはいけない。
私が私である為に、私と言う存在を許す人がある限り私は“思考”を止めてはいけない。


《 cogito,ergo,sum 》

《 我思う、故に、我あり 》

何時か出会う深淵の闇の神が、私の鼓動を止めるまで
私と言う“L”の名を持つ者の意味を伝える為に
私は“思考”し続ける――――!?                  《完》

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ