∬`∀<´∬ 紐育 につく 通り 出口以前


□「L No Corrida」♪〜p川* ̄Д ̄*川(さる作)
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時間だけが過ぎて行く・・・残り少ない2人の時間が・・・私達が辿り着く未来、貴方はどんな眼を私に向けるのだろうか――――!?



『竜崎、この資料の事なんだけど・・』

何時もの様に話し掛けてくる貴方の声は何も変わる事は無い。突き詰めて行けば行くほど、この身体の奥から湧き出てくる疑念を掻き消す様に・・・。

『その資料の事ならワタリに聞いて下さい。私は現在、手が放せないんです。』

話し掛けてくるライト君の顔を見ずに、素っ気無い返答をする私・・・。この湧き上がる苛付きを、如何処理したらいいのか分からないでいる。

『・・?分かった、邪魔して悪かったな。』

そんな私の態度を如何思ったのか・・・貴方は困惑した表情を浮かべながらも笑顔でそう答える。

『えぇ・・・すみません。』

キーボードを無意味に叩きながら、打ち出されて行く文字を虚ろに見詰める私・・。後方でドアの閉まる音を聞いた瞬間、例え様も無い虚無感が全身に広がるのを感じる。

『・・・・・私は何をしているんだ・・・?』

止まってしまいそうな思考と心にそう悪態を付ながら、私は又同じ答えしか出ない計算を試みる―――。

私のすべき事は『キラ』を逮捕し、『人として』裁きを受けさせる事―――。
見据える先は同じ『悪の無い世界』の筈なのに、何故こんなにもすれ違うのか。
『死神』の力を得た『キラ』が、自らを『神』とした事が誤りなのか―――!?

『違う・・・・そんな事では無い・・・。』

分かっている・・・本当は全て理解しているのだ・・・。けれど私は貴方を手放したくないばかりに、その出されている答えから眼を逸らそうとしている。

もしも貴方が本当に『キラ』ならば、私は自ら望んで得た光を消す事になるのだ―――それが恐ろしく・・・それが悲しい・・・―――。

『私は私の理念を変える事が出来ない・・貴方も貴方の志を止める事が出来ない・・どんなに望んでも、出ている答えは変えられない・・・!』

ガシャリ・・・とキーボードが壊れるほど、右手を強く叩きつける。
打ち出された意味の無い言葉達が、私を嘲笑うかのように白い世界を染めて行く―――。
どちらかの存在が許されない出会いならば、何故私達は出会ったのだろうか?
この世界が最後に貴方を救う為に託した『希望』が私ならば、私は貴方の救いにはならなかったと言う事なのだろうか?
沸いては消えて行く思考に翻弄されながらも、私の心が貴方への想いを叫び続ける。

『・・・・・例えこの身が滅ぶとも、例えこの手で貴方を葬ろうとも・・・・この想いは消える事は無い・・・・。』

叩き付けた手に、赤い命が滲む・・・この赤よりも鮮やかな存在の貴方・・・・私の欲した唯一なる者・・・その魂は誰にも渡したくは無いと願う私は愚かだろうか?

『貴方が『キラ』の確率は―――%・・・最後まで私は貴方に付き合いますよ・・。どんな形になろうとも・・・ね。』

ふと・・・映し出された画面に眼をやる・・・そこに映る貴方の笑顔を、私は永遠に抱き続け・・・・互いの宿命を待つだろう。

最後のその瞬間まで・・・変えられない未来を憂いながら―――!?            《完》

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